コラム

日本の民主主義はどうして「順序が逆」なのか?

2013年12月10日(火)12時08分

 ですが、深層にはもっと別の構造的な問題があると思うのです。それは「党議拘束の無意味さ」ということです。政権や所属政党が民意を無視して法案を可決してしまい、その後で「周知徹底、懸念払拭」をやると言っても、個々の議員の事情は複雑です。

 特に衆議院の小選挙区の選出議員は、極めて特定の地域の有権者の代表として国会に来ているわけで、民意を完全に無視していては次の選挙が危なくなるわけです。今回の「みんなの党」瓦解事件の背景にあるメカニズムは、他の要素も含めた複雑なもののようですが、こうした切り口から理解するとスッキリするように思うのです。

 この際、首班指名と予算案以外は党議拘束を外して、議員が「選挙区の民意を代表する」ようにすれば、政治と世論の乖離には一定の歯止めが出来るのではないでしょうか?

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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