プレスリリース

データで見る「がん末期や難病患者向けの老人ホーム」の動き 緩和ケア病棟の新設鈍化を背景に「ホスピス型住宅」が急増

2025年01月21日(火)11時30分
株式会社TRデータテクノロジー(本社:東京都中央区、代表取締役:田中 幹雄、以下 当社)は、昨今急増しているホスピス型住宅※の開設傾向について分析しました。結果は下記のとおりです。
当社は全国の介護施設並びに居宅サービスのビッグデータを所有、販売する介護分野に特化したデータ会社です。2025年2月1日には、「福祉施設・高齢者住宅Data Base」( https://koureisha-jutaku-db.com )にて最新版データをリリースする予定です。
※ホスピス型住宅:入居者をがん末期や難病患者などに絞り、専門のケアを提供する民間ホームの通称。主に住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅でホスピスを標ぼうして運営するケースが多いが特に行政上の届出や規制は無い。当社の独自基準は巻末に記載。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/423606/LL_img_423606_1.png
(表1)大手事業者一覧

1)主に「がん末期や難病患者向け」ホームの運営を行う大手事業者
【業界最大手は株式会社アンビス】
表1は主に「がん末期や難病患者向け」ホームの運営を行う事業者の運営ホーム数上位5社である。多くががん末期の患者を対象としたホスピス型住宅を運営し、近年急速に拠点数を増やしている。この内、株式会社サンウェルズはパーキンソン病患専門のホーム「PDハウス」を運営しており、他社とは運営コンセプトが異なる。


2)緩和ケア病棟とホスピス型住宅の開設数推移
【緩和ケア病棟の新設数減少が背景に】
図1は緩和ケア病棟とホスピス型住宅の新設数推移である。緩和ケア病棟は2013年をピークに減少基調で推移。2021年以降は10ヶ所未満/年と低調が続く。一方、ホスピス型住宅は、年々新設数が増加。2020年以降では30ヶ所以上/年が開業しており、2023年は過去最大の61ヶ所となった。
図2はそれぞれのベッド数/定員数の累計を示したグラフだが、2022年にホスピス型住宅の定員数が緩和ケア病棟のベッド数を上回った。
このように、ホスピス型住宅急増の要因のひとつとして、緩和ケア病棟の供給量も影響していると考えられる。
※緩和ケア病棟:1990年から制度化。がん末期や治癒が困難な病気を抱える患者に対して、身体的・精神的な苦痛を和らげるための専門的なケアを提供する病棟。
※緩和ケア病棟数およびベッド数出典:NPO法人日本ホスピス緩和ケア協会の公開情報より
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/423606/LL_img_423606_2.png
(図1)開設数推移
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/423606/LL_img_423606_3.png
(図2)ベッド数・定員数累計

3)ホスピス型住宅のエリア傾向
【全体の約8割が東日本の各エリアで開設】
図3は、全国6エリアにおけるホスピス型住宅の開設地をエリアごとに分類したグラフである。関東エリアが40%と最も多く、次いで北陸・中部エリア、北海道・東北エリアが続く。
このように、関東を中心とした東日本が全体の8割を占めており、開設傾向には大きな地域差が見られる。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/423606/LL_img_423606_4.png
(図3)エリア傾向

4)ホスピス型住宅の平均要介護度・年間退去率の傾向
【ホスピス型住宅/年間で入居者の6割以上が退去する実態】
図4は、施設タイプ別に、ホスピス型住宅とそれ以外に分類し、平均要介護度を比較したグラフである。ホスピス型住宅の全体平均は3.4。中でも住宅型が3.5と高く、ホスピス型住宅以外の平均要介護度を大きく上回る。
図5は、年間退去率を施設タイプ別に比較したグラフである。ホスピス型住宅以外は全体平均で年に23%の入居者が退去している。ホスピス型住宅の退去率はその約3倍に相当する63%と高く、特に住宅型は66%と突出している。
※サ高住:サービス付き高齢者向け住宅
介護付:介護付有料老人ホーム
住宅型:住宅型有料老人ホーム
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/423606/LL_img_423606_5.png
(図4)平均要介護度
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/423606/LL_img_423606_6.png
(図5)年間退去率

【調査対象施設】全国の介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅

【データ出典元】福祉施設・高齢者住宅Data Base2024年度版(調査時点2024年7~8月で当社が入手できた情報に限る)。出典元は介護サービス情報公表システム(厚労省)、サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム、重要事項説明書(介護付、住宅型、サ高住で入手可能なホームに限る)。

【ホスピス型住宅の定義】次の条件により当社が独自に設定。(1)ホスピス型住宅を運営している運営事業者(約15社)、ホーム名に「ホスピス」を称するホーム(ブランドやホーム単位)、(2)(1)で抽出したホームの平均退去率を参考にし、退去率が60%超のホーム

【ホスピス型住宅以外の定義】ホスピス型住宅以外で要介護者をメインターゲットとしたホーム

【退去率の算出方法】前年退去者数÷(現入居者数+前年退去者数)

※補足事項
(表1)開業予定ホームも含む。調査時点の違いにより、現状とは異なる場合がある。
(図4)(図5)平均要介護度、年間退去率が入手できたホームに限る。


■福祉施設・高齢者住宅DataBaseの概要
全国の福祉施設の情報を収集して介護データベースを構築。ホーム基本情報のほか入居率や利用料等の商品情報を法人向けに提供。ホーム事業者や福祉機器メーカー、学術機関等の様々な分野で採用されている。
WEB : https://koureisha-jutaku-db.com/
企画協力・販売: 株式会社高齢者住宅新聞社(東京都中央区銀座8-12-15)


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ戦争後の平和確保に協力とトランプ氏、プー

ビジネス

中国、TikTok巡る合意承認したもよう=トランプ

ワールド

米政権がクックFRB理事解任巡り最高裁へ上告、下級

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FRBの慎重姿勢で広範に買
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中