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日本「民泊」新時代の幕開け、でも儲かるのは中国企業だけ?

2017年06月09日(金)18時08分
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)

上述「シェアハウス消費トレンド報告2017」によると、ホテルを利用する観光客と比べて、民泊利用客は滞在日数が2.1倍、支出が1.8倍と多い。民泊を使って宿泊費を節約した分、長く滞在し、買い物や外食を増やす傾向があるというわけだ。

中国人旅行客が日本に来ても、中国人オーナーの民泊に泊まり、中国企業経営の免税店で買い物し、中国人ガイドに案内され、中華レストランで食事をして帰っていく。もしこのように中国人の中だけでお金が回るようになれば、日本にとって喜ばしい話ではない。

ただし、中国人が中国企業提供のサービスを選ぶのはなにも日本にお金を落としたくないからではない、という点には留意するべきだろう。消費者にとって利便性の高いサービスだから選んでいるだけなのだ。結果的にこうしたサービスが日本への旅行客数を増やしている側面も否定できない。

また、いくら中国企業がさまざまな分野に進出しているとはいえ、すべてのサービスをカバーすることはできず日本経済に貢献していることも事実だ。

【参考記事】「日本はWi-Fi後進国、外国人が困っている」に異議あり!

こう考えてみれば、悪か善か、禁止か全面解禁かの二元論はナンセンスだ。現実的にはプラスとマイナスの側面を把握し、社会における便益を最大化する落としどころを見つけることにしか正解はない。

そのためにはまず正確な実態把握が必要だ。宿泊統計の改正、民泊新法による合法化によって民泊の実態把握を進め、よりよい方向に誘導できるかどうか。観光立国を目指すためには避けては通れない道だ。

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