コラム

【保存版】平成30年間の新卒採用:人気企業、求人倍率、新入社員タイプ...

2019年04月24日(水)19時00分

令和時代の人事のキーワードは「人と企業の価値の交換」

採用選考において、三井物産は現在、宿泊を伴う合宿を取り入れている。ファーストリテイリングは「グローバルスタディプログラム」という海外インターンシップを実施。渡航費や現地滞在費も会社負担という破格の待遇で、大学1年生から応募できる。

一方、一律の初任給を廃止しただけでなく、内定者にも世界各国で最新のサービスやアプリを体験するための海外出張費を全額負担する制度を導入したのはメルカリだ。

これらは、自社をきちんと理解してもらうと同時に、学生の個性をきちんと理解し活かそうとする取り組みである。

多額のお金を掛ける必要があると言いたいわけではない。どの会社も、自社をきちんと伝えると同時に、各人の特徴を理解し、求めるものを把握し、それらを満足させられる仕事や処遇を用意することが大事だと言いたいのだ。

入社後も同じだ。自分が求めるものと違えば、すぐに転職してしまう。常に個人の状況や求めるものを把握し続ける必要がある。人が求めるものは常に変化する。1 on 1ミーティングを多くの企業が取り入れ始めているのも、コーチング的要素だけではなく、「個」の把握の必要性という流れと合致するからなのだ。

企業は個人のキャラクターや何を求めているのかを本気で把握し、きちんと向き合い、その人に合った道を用意する必要がある。個人も自分の価値を高めるために自ら技量を磨き続ける必要がある。

令和時代に求められるのは、そのような人と企業が常に価値を交換し合える関係だ。そのことに早く気付き、「個」に個別対応できる仕組みを取り入れた企業だけが成功することができるだろう。

平成最後の4月に、経団連と大学側が通年採用を拡大することで合意した。横並び一括採用と年功序列という日本型の雇用慣行の終焉だ。「個」の時代、令和を予感させる。

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プロフィール

松岡保昌

株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長。
人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士の資格も持ち、キャリアコンサルタントの育成にも力を入れている。リクルート時代は、「就職ジャーナル」「works」の編集や組織人事コンサルタントとして活躍。ファーストリテイリングでは、執行役員人事総務部長として同社の急成長を人事戦略面から支え、その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として広報・宣伝のあり方を見直す。ソフトバンクでは、ブランド戦略室長、福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役などを担当。AFPBB NEWS編集長としてニュースサイトの立ち上げも行う。現在は独立し、多くの企業の顧問やアドバイザーを務める。

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