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なぜ防げない? 「宮﨑勤事件」以降も変わらない誘拐対策
4番目の誘拐現場(東京都江東区)となったのは、高層アパート1階にある保育園の玄関前である(写真2)。そこから宮﨑は、5歳の保育園女児を連れ去った。
まず宮﨑は、自動車を使って、かつて女児を校庭でビデオ撮影したことがある小学校に近づいた。そして、東京地裁の判決文の言葉を借りれば、「逃走する際に必要な道路状況をは握した上」(原文ママ)で、小学校付近に車を止めた。つまり、駐車場所は逃げやすい場所、言い換えれば、「入りやすい場所」だったのだ。

車から降りた宮﨑は、高層アパート横にある公園のベンチに座り、一人で遊んでいる幼女を探した。すると、一人でいる幼女がアパートの吹き抜けの通路に入っていくのが見えた(写真3)。

そこで幼女の後を追うと、幼女がほかの人と話していたので、物陰から様子をうかがうことにした(写真4)。しばらくして、幼女が一人になったので近づき、「写真を撮らせてね」と声をかけ、その場で撮影した後、「向こうで撮ろうね」と誘い連れ去った。

この事件でも、宮﨑は「7メートルくらい先を間隔を取りながら歩いて4号棟の東側道路に下りる階段を歩道へと下りて行った」(原文ママ)と供述している。これでは、目撃されても、子どもが連れ去られているとは思われないはずだ。
宮﨑が幼女に声をかけた保育園の玄関前(写真2)は、アパート西側の公園からも、アパート東側の階段からも近づくことができる「入りやすい場所」だ。しかも、そこは物陰が多い「見えにくい場所」でもある。
しかし事件後、この場所の危険性が改善されたようには見えない。
物陰に入りにくくする、保育園の玄関を「見えやすい場所」に移す、ミラーや監視カメラを設置する、壁や柱を光の反射率が高い白で塗装して見えやすくする、といった改善策はたくさんあったはずだ。しかし、それらが取られてこなかったのは、「場所で守る」という発想自体がなかったからだろう。
重要なことは、防げる犯罪は確実に防ぐ、ということである。不幸にも犯罪が起きてしまった場合には、そこから予防に結びつく何らかのヒントを得ようと努めるべきだ。そして、それができるのが犯罪機会論なのである。
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