コラム

「同盟国にも軍事力行使を排除せず」 米国を「安全保障の懸念」に挙げたデンマーク報告書の警鐘

2025年12月11日(木)17時35分
デンマーク情報当局がアメリカを安全保障の懸念と報告

Sipa USA via Reuters

<デンマーク情報当局は「ロシアの脅威に米国がどこまで関与するのか不確実」だとした。NATOの中でも親米的な同国の変節が意味することとは?>

[ロンドン発]デンマーク国防情報局(FE)は年次脅威評価報告書で「米国は経済力、特に高関税の脅しを含む経済的手段を自国の意志を強制するために用いるようになっており、同盟国に対しても軍事力の行使を排除しなくなっている」との見方を示している。

デンマークが年次脅威評価で同盟国の米国を「欧州安全保障の不確実要因」と位置づけるのは初めてだ。

「米国の最重要戦略的優先事項は中国との競争と米国周辺地域の安全保障だ。このため欧州の安全保障に対する米国の役割、とりわけロシアからの脅威に対して米国がどこまで関与するのかについて不確実性が高まっている」という。

FEは米国を安全保障上の懸念として扱うことは避けてきた。しかし初めて(1)米国が同盟国に経済力・軍事力を用いて圧力をかけうる存在になった(2)米国の対欧州関与が不確実化している(3)米国の政策変更がデンマークの安全保障環境にリスクを生む――ことを明記した。

「グリーンランド取得に軍事・経済的手段を排除しない」

2019年の第1次政権時、トランプ氏は豊富な資源と地政学的重要性を理由にグリーンランド購入を側近に検討させていた。復活後の24年末〜25年にかけトランプ氏は「グリーンランド取得のために軍事的あるいは経済的手段を排除しない」と発言。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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