コラム

ウクライナ南部のダム破壊、国際法違反の卑劣な攻撃で「得をした」のは誰か...「反転攻勢」への影響は?

2023年06月07日(水)18時50分

NATO事務総長「ロシアの残虐性を示すとんでもない行為」

EUのジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表とヤネス・レナルチッチ欧州委員会危機管理担当委員は「ウクライナの民間重要インフラへのロシアの攻撃は前例のないレベルに達した。EUはこの攻撃を可能な限り強い言葉で非難する。これはロシアの残虐行為の新たな次元を示すものであり、国際法、特に国際人道法の違反となる恐れがある」と糾弾した。

欧州議会のロベルタ・メッツォーラ議長は「カホフカ水力発電所の恐ろしい破壊の結果に苦しむのはウクライナの子どもたち、一般市民だ。これは人道に対する行為である。戦争犯罪であり、放置することはできない」と語気を強めた。欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は「ロシアは戦争犯罪の代償を払わなければならない」と述べた。

シャルル・ミシェルEU大統領(首脳会議常任議長)は「前例のない攻撃にショックを受けている」と語り、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は「ロシアによる戦争の残虐性を改めて示すとんでもない行為」と表現した。西側諸国はダム爆破をロシア軍の犯行と断定した上で、ウラジーミル・プーチン露大統領の無差別攻撃に対して非難を強めている。

ダム爆破は、もはや自分の地位を守ることしか頭にないプーチンが瀬戸際に追い詰められていることを意味する。ウクライナ戦争の攻守は完全に逆転した。モスクワへのドローン攻撃や露ベルゴロド州への越境攻撃、ロシア軍が唯一攻勢だったバフムートでウクライナ軍の反転攻勢を受け、プーチンは逆上している。ロシア軍の劣勢は一層、鮮明になっている。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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