コラム

国民を本当に救えるのは「補助金」でも「減税」でもない...本当に議論すべき大切なテーマとは?

2024年12月19日(木)17時31分

インフレが収まらないなかで必要な根本的な議論

一方で政府の財政は火の車となっており、来年以降、防衛費の倍増や子育て支援の拡充、地方創生交付金の倍増など10兆円近くの支出増が見込まれる。これらの財源を国債に頼ってしまうと、経済学の常識としてインフレが加速し、国民生活がさらに厳しくなるのは目に見えている。

これに加えて、多額の予算を必要とするガソリン代補助を継続するのは難しいだろう。

一方、国民民主党は、ガソリン税の上乗せ分である25.1円部分を減税する「トリガー条項」の発動を要求、与党はこれを受け入れ、暫定税率の廃止を決めた。ただ、減税が行われても一定の財源が必要であることに変わりはなく、結局のところインフレ下においては、物価上昇を超える賃上げを実現できない限り国民生活は向上しない。


政治である以上、目先の支援策に議論が集中するのは致し方ない面もある。だが、インフレは簡単に収まりそうもないという現実を考えた場合、原理原則に戻って、どうすれば経済を成長させ、賃金を上げられるのかについて根本的な議論を行う必要がある。

経済学の理論上、中長期的な経済成長を担保するのは資本投入と労働投入、生産性の3要素しかない。資本については十分な余力がある一方、労働投入については、年収の壁問題の解決などによって、ある程度までなら就労者数を増やすことが可能だが、それにも限度がある。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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