政府による物価対策の給付金は「高齢者優遇」で不公平──批判は正しいのか?
資産も把握した上での線引きが不可能
住民税非課税世帯のうち高齢者世帯が占める割合は6割超だが、生活保護受給世帯のうち高齢者世帯が占める割合も5割を超えており、両者に著しい乖離は生じていない。住民税非課税世帯で線引きすることによって、許容できないほどの不公平が生じるわけではないだろう。
とはいえ、生活が苦しい人を確実に支援するには、収入に加え、資産についても把握した上で線引きするのが望ましい。ところが行政のデジタル化が著しく遅れる日本では、現時点でそうした給付を行うのは不可能である。
一部の論者や政府関係者は、マイナンバーカードが普及していないことが行政デジタル化の遅れの主要因と指摘しているが、それは正しい認識ではない。資産や収入の捕捉ができないのは、単に政府や自治体のシステム化が遅れているからであって、カードの普及とは無関係である。
この問題は、コロナの給付金が議論された時から続いており、一向に改善される気配がない。このままでは給付のたびに同じ問題が指摘され続けることだろう。
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