コラム

トランプがいようといまいと、アメリカは「持てる者たち」のための国

2025年12月20日(土)15時00分

この民主党のひそかな資本家層への擦り寄りは、2011年にあらわになる。この年の9月、ニューヨークのウォール・ストリートに生活に困窮した市民が集まり、「ウォール・ストリートを占拠せよ」運動を繰り広げた。しかし民主党のオバマ大統領は、警官隊がデモ隊を力で解散させるのを看過した。またヒラリー・クリントンは16年の選挙集会で、トランプの下に集まる困窮した白人層を「嘆かわしい人たち」と呼び、民主党離れを決定的にした。

結局、世界はひっくり返らない

アメリカでは所得上位1%の者が、GDPの25%弱を稼ぎ、国の資産の30%強を所有する。所得上位10%の富裕層が株式の90%強を所有する。連邦歳入の50%弱は個人所得税だが、その40%は所得上位1%の層、72%は上位10%の層が納めている。だからアメリカは、肉体労働ではなく頭脳で儲ける「持てる者」たちが支え、彼らのために国が動いていると言える。その他大勢は、古代アテネの「平民」のように貴族より一段格下の人間として生きる。


こうして「持てる者」たちの金が共和・民主両党を牛耳り、持たざる者たちは選挙のたびに良さそうに見えるほうに投票して、「政治を変えた」つもりできたのだ。

だから、共和も民主もしょせん「同じ穴のムジナ」。左右の過激派勢力が散発的に暴れても、州を単位とする南北戦争のような内戦は起こるまい。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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