コラム

高市新総裁をいきなり襲う国内外の暴風雨

2025年10月18日(土)14時00分

選出された高市新総裁を祝福する石破首相(今月4日) KIM KYUNG-HOONーPOOLーREUTERS

<今やるべきなのは、安倍政権ができなかった実質賃金を上昇させること>

高市早苗自民党総裁は誕生したものの、少数与党の自民党は公明党に見捨てられて万事休す。たとえ高市総裁が首相になっても、課題の第1に掲げる物価対策のための補正予算審議はらちが明かなくなるかも。破れかぶれの国会解散、総選挙も見えてきた。

その中で、今月下旬にはトランプ台風が日本上陸の構え。あるいは米中関係再悪化や株価暴落で来ないかもしれない。いずれにせよ31日には韓国でのAPEC首脳会議に赴いて、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席との初会談もこなさなければならない。


内外とも暴風雨の中の、ガバナンスの空洞化。いよいよ日本も、ポピュリズムで内政不安定の先進民主主義国の仲間入りだ。いや、いま起きている世界の大地殻変動の中で日本は、一番脆弱な地位にある。ガバナンス不在では、日本人皆が迷惑する。

危機感が足りない。日本の政治家・官僚・マスコミなどが当然視してきた、世界の戦後の枠組みが今なくなろうとしているのだ。1つは戦後の米ソ、冷戦後の米中の対立の中で、いつもアメリカに守られ、アメリカの市場を使わせてもらっていた構造が、大きく揺らいでいること。

日本は中国や韓国とけんかしても安心、という時代ではない。もうアメリカは付いてこない。トランプがロシア、中国と無原則に手打ちをしてしまえば、日本は裸で放り出される。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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