コラム

ジョージアはロシアに飲み込まれるのか

2024年06月15日(土)14時30分

しかし、ロシアと関係を正常化(平和条約の締結)しようとしても、ロシアがジョージアから分離させようとしているアブハジア、南オセチアの扱いが問題となる。ジョージアをめぐっては、いろいろなことがねじれていて、一筋縄ではいかない。

ジョージアは昔からペルシャ、トルコ、ロシアのはざまで、もまれにもまれてきた。1783年にロシアの保護国となって以来、ロシア帝国に組み込まれたが、現在はアメリカ、EUもジョージアをめぐるパワーゲームに加わっている。ロシアとイラン、ロシアとアルメニアの交通には不可欠の存在である一方、現在はアゼルバイジャンからジョージアを通ってトルコに抜ける鉄道、原油パイプラインが、西側と中央アジアを結ぶ重要な輸送路にもなっている。


つまり、ジョージアの人たちの生活のためには、ロシア、西側双方との関係が必要なのだ。民主主義の旗を振らせて権力を奪取させるだけでは無責任。民間投資、製品の輸入、出稼ぎ受け入れなど、よほど頑張らないといけない。そして、ジョージアが民主化しても、アメリカやEUで民主主義が損なわれかねない今の状況は、笑い話にもならない。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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