ニュース速報
ワールド

焦点:中国全人代、成長目標4.5─5%に引き下げか 消費拡大に軸足へ

2026年03月03日(火)15時05分

北京中心部のビル群。2025年3月撮影。REUTERS/Tingshu Wang

Kevin Yao

[北‌京 3日 ロイター] - 5日に開幕する中国全国人民代表‌大会(全人代、国会に相当)は、今年の経済成長がわずか​に鈍化することを容認する姿勢を示す見通しだ。これにより、産業の過剰生産能力を抑制し、輸出依存の経⁠済構造を是正する取り組みを強める​余地が、ある程度広がるとみられる。

多くのアナリストは、会合初日に李強首相が行う政府活動報告で、成長目標が4.5%―5%程度に設定されると予想している。併せて消費の拡大とハイテク産業への投資促進を掲げる見通しだ。同日発表される第15次5カ年計画(2026─30年)でも、この矛盾する目標を改めて確認するとみ⁠られる。

ある政策顧問は「政策担当者は消費喚起の取り組みを強める一方、技術主導の新たな生産力を引き続き重視する」との見方を示した。また、成長目標は⁠レンジ形​式に移行すると予想した。

キャピタル・エコノミクスのアナリストはリポートで「2つの政策目標の間には明らかな緊張関係があり、指導部がどうバランスを取るかの手掛かりとして、5カ年計画の全体像に注目している」と記した。「そのバランスが、今後数年にわたる過剰能力とデフレへの対応の進展度合いを左右する」と述べた。

<目標引き下げで改革余地も>

より柔軟な成長目標が設定されれば、産業の生産能力抑制や各セクターの価格⁠競争の抑止など、昨年始まった痛みを伴う構造改革を加速させる余‌地が生まれる。

今年の成長目標をレンジで示すとの見方は、省政府の約3分の2が目標を引き下げたことを⁠受けて広⁠がった。経済規模で国内最大の広東省は26年の成長目標を前年の「5%前後」から4.5─5%に引き下げた。第2位の江蘇省は昨年の「5%以上」に対し、今年は5%に設定した。

ソシエテ・ジェネラルの中華圏担当エコノミスト、ミシェル・ラム氏は「(目標が)確認されれば、需給の不均衡を悪化させかねない債務頼みの投資刺激に依存するよりも、成長は遅く‌ても持続可能性を重視する姿勢が強まったことを示す」と分析した。

一方、モル​ガン・スタン‌レーのアナリストは、成長目標⁠は5%前後で据え置かれるとみている。​省政府の目標の加重平均は、昨年の5.4%に対し今年は5.1%と推計した。同社は「中国当局は信頼感の維持を重視している」との見方を示し、新たな5カ年計画の初年度は「ためらう局面ではない」と指摘した。

<財政赤字は横ばいに>

今年の財政赤字の対国内総生産(GDP)比は4.0%に維持され、国債発行計画も昨年と同規模になると予想されている。

米連邦最高裁がトランプ大統領の「‌相互関税」を違憲と判断したことで、より大規模な景気刺激策の必要性は低下した。その結果、支出規模よりも具体的な配分先に注目が集まりそうだ。

政策顧​問の多くは、中国が家計消費の対GDP比を現在の約40%から30年まで⁠に45%へ引き上げるべきだと考えている。数値目標を設定すれば過去よりも強い決意を示すことになるが、それでも世界の平均を約15%ポイント下回る水準にとどまる。

一部のアナリストは、生産面の目標とのバラ​ンスを取る方法として、産業の生産能力への投資支援は減らす一方、技術更新や研究には引き続き重点配分する可能性があるとみている。

対外経済貿易大学中国WTO研究院の屠新泉院長は「もはや産業の生産能力拡大に焦点は当てない」とし、「代わりに最先端技術の開発により重点が置かれる」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は大幅続落、1700円超安 中東情勢緊迫化

ビジネス

UBS、資本改革巡るロビー活動抑制を スイス議会が

ワールド

アングル:中東情勢が安保3文書改定に影響も、米軍の

ビジネス

日銀、3月会合で政策金利据え置く可能性 利上げ姿勢
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 5
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 6
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 7
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 8
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 9
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中