ニュース速報
ワールド

米政権のパウエル氏捜査に批判噴出、歴代FRB議長や共和党内からも

2026年01月13日(火)14時02分

写真はトランプ米大統領とパウエル連邦準備制度理事会議長(右)。2025年7月24日、ワシントンで撮影。REUTERS/Kent Nishimura

Howard ‍Schneider Ann Saphir

[12日 ロイター] - トランプ米政権が‌パウエル連邦準備理事会(FRB)議長に対する刑事捜査を開始する決定を下したことを受け、12日には歴代FRB議長らが非難の声を上げたほか、共和党の主要メンバーからも批‌判が相次いだ。

パウエル氏は11日​、FRB本部改修について昨年夏に行った議会証言を巡り、トランプ政権が刑事訴追すると警告し、大陪審への召喚状をFRBに送付したと明らかにした。FRBに対する利下げ圧力を強めるための「口実」だと指摘した。

事情に詳しい関係者によると、捜査はワシントンの連邦検事でトランプ大統領の盟友‌であるジャニーン・ピロ氏が承認し、開始した。ボンディ司法長官もブランチ司法副長官も、FRBに召喚状を出す決定について説明を受けなかったという。

ピロ氏は12日夜の声明で、司法省が法的措置を取ったのはFRBが本部改修するプロジェクトでのコスト超過に関する協議の要請を無視したためだと説明。「事実に基づいて決定を下す。それ以上でもそれ以下でもない」とXに投稿した。

パウエル氏に対する刑事捜査を巡り、アラン・グリーンスパン氏らFRBの歴代議長や元経済当局者らは12日、FRBの独立性に対する「前例のない」攻撃とした。

グリーンスパン氏に加え、イエ​レン前FRB議長、バーナンキ元FRB議長ほか、共和・民主両党の大統領によ⁠って任命された国家経済会議(NEC)委員長ら10人が署名した声明は「報じられているパウエル‍FRB議長に対する刑事捜査は、検察当局による攻撃を用いて独立性を損なう前例のない試みだ」とし、「脆弱な制度を持つ新興市場では、このような形で金融政策が決定され、インフレや経済機能全般に大きな悪影響をもたらしている。経済的成功の基盤である法の支配を最大の強みとする米国では、このようなやり方は通用しな‍い」と非難した。

フランスやカナダなど世界の中銀総裁も公にパウエル氏への支‍持を表明‌した。

FRB議長候補を審査する上院銀行委員会のトム・ティリス議員(共‍和党)は11日、政権の動きについて「大きな間違い」だと指摘。この問題が完全に解決するまで、後任議長を含めトランプ氏が指名するFRB要人候補には反対すると述べた。

12日には上院銀行委のケビン・クレイマー議員やリサ・マコウスキー上院議員(ともに共和党)も、この事態を非難した。

普段はパウエル氏を厳しく批判するシンシア・⁠ラミス上院議員も、司法省が刑事法規を適用したのは「かなり無理がある」ように見えると述べ、犯罪の意図は見受けられないとの認識を示した。

ジョンソン下⁠院議長は12日、司法省のパウエル氏捜査について‍、「完了するまで待つ」とし、阻止しない考えを表明した。

ニュースサイトのアクシオスが12日、関係筋の情報として報じたところによると、ベセント財務長官はパウエル氏に対する連邦捜査は「混乱を​招き」、金融市場に悪影響を及ぼす可能性があるという認識を11日にトランプ氏に伝えていた。

トランプ氏は12日、NBCニュースに対し、司法省の行動については何も知らないと語った。「私は何も知らないが、彼は明らかにFRBでの仕事はあまりうまくないし、建物の建設にも長けていない」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国製造業PMI、2月は2カ月連続で50割れ 民間

ワールド

米ベスト・バイ、メモリー高騰への対応に奔走 関税負

ワールド

トランプ関税返還訴訟が国際貿易裁判所に殺到、200

ワールド

米中間選挙に向け予備選始まる、テキサス州接戦 イラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 4
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 5
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 6
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「日本食ブーム」は止まらない...抹茶、日本酒に「あ…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中