アングル:米とウクライナの資源協定、収益化は10年以上先か

5月1日、ウクライナと米国はこのほど鉱物資源を巡る協定を結んだが、戦争で荒廃したウクライナで新たな鉱山を開発して生産にこぎ着けるまでには多くのハードルがあるため、経済的利益が生まれるのは10年以上先になりそうだ。写真はウクライナ東部クリブイリフの鉱山で4月撮影(2025年 ロイター/Thomas Peter)
Eric Onstad Pavel Polityuk
[ロンドン/キーウ 1日 ロイター] - ウクライナと米国はこのほど鉱物資源を巡る協定を結んだが、戦争で荒廃したウクライナで新たな鉱山を開発して生産にこぎ着けるまでには多くのハードルがあるため、経済的利益が生まれるのは10年以上先になりそうだ。
鉱業コンサルタントらが1日に話したところでは、カナダやオーストラリアなど、鉱業関連の産業が確立している国でさえ、戦略的に重要な鉱物を産出する鉱山の開発には10年から20年を要する。
ウクライナの鉱物資源のほとんどは、採算が取れるか否かを確認するためのデータが乏しい。3年に及ぶロシアの全面侵攻により電力や交通インフラが破壊され、将来の安全が保証されていない国に資金を投入することにも、投資家は二の足を踏む可能性がある。
コンサルティング会社ベンチマーク・ミネラルズ・インテリジェンスの鉱物部門責任者、アダム・ウェブ氏は「これらの鉱物が全て、突然ウクライナから飛んでくると思っているなら夢物語だ」と言う。「現実問題として、戦争をしていない他の国で重要鉱物に投資する選択肢がある中で、ウクライナへの投資を正当化するのは難しいだろう」
協定による経済的利益は不透明だが、ウクライナ当局者らは政治的突破口になると歓迎。トランプ米大統領の下で弱まった米国の対ウクライナ支援を再強化することにつながると信じている。
ウクライナはロシアの軍事侵攻に耐えるため、米国の支援、特に武器と現金を必要としている。
米国はトランプ氏が協定の成果を宣伝し、特にウクライナのレアアース(希土類)鉱床へのアクセスを強調した。レアアースはスマートフォンから自動車まで幅広い分野で使用されているため、政府の政策によって投資が加速する可能性がある。
米国はレアアースを大量に生産しておらず、世界最大のレアアース供給国である中国との貿易戦争を激化させている。
米国とウクライナが米首都ワシントンで署名した協定の文言によると、ウクライナ復興基金の収入はロイヤルティ、ライセンス料、生産分配契約から得られる。
財務条件は記載されておらず、米国際開発金融公社とウクライナの官民パートナーシップ支援国家機関が今後、有限責任(LP)合意を結ぶ必要があると記されている。
協定文書は55種類の鉱物に加え、石油、天然ガスその他の炭化水素を明記している。ウクライナのデータによると、欧州連合が「重要鉱物」と指定した34種類の鉱物のうち、ウクライナにはレアアース、リチウム、ニッケルを含む22種類が埋蔵されている。
コンサルティング会社CRUのウィリス・トーマス氏は「発見された資源を経済的に採算の取れる埋蔵資源に移行させるには相当の時間と投資が必要だが、戦争開始以降はもちろん、その前から両方に制約があった」と指摘した。
ウクライナ財務省のデータによると、同国政府は2024年に天然資源の採掘に関連するロイヤルティその他の手数料として477億フリブナ(約10億ドル)の収入を得た。
しかし、米国との協定で設立された共同復興基金は、協定発効後に結ばれた生産分配契約と新たなライセンス、許可から生じる収入しか受け取れない。
<遅いライセンス発行ペース>
ロシアが2022年に全面侵攻する以前から、ウクライナでは新たな天然資源ライセンスの発行ペースが遅かった。ウクライナ地質サービスによると、2012年から20年までに発行されたライセンスは石油・ガスが約20件、グラファイトが1件、金が1件、マンガンが2件、銅が1件だ。既存のライセンスは合計3482件。
有限責任(LP)組合が生まれることから考えて、米・ウクライナ両国は鉱山会社への直接的な政府投資を検討している可能性があるとアナリストは指摘している。
両国はチリを参考例にしているのではないか、とコンサルティング会社ベンチマークのウェブ氏は言う。チリは世界最大の銅生産国であり、国営鉱山企業コデルコを保有する。
もう1つの障害は、潜在的に収益性の高いプロジェクトの一部がロシア占領地域に位置しており、協定には「安全の保証」が含まれていない点だ。米政府は、米国が権益を持つことが侵略者を抑止するとしている。
ベンチマークが特定した24の潜在的鉱山プロジェクトのうち、7つはウクライナのロシア占領地域にあり、リチウム、グラファイト、レアアース元素、ニッケル、マンガンが含まれる。
欧州最大級のリチウム鉱床のライセンスを保有するウクライナ小規模企業の幹部は2月、西側による安全の保証がなければ開発は困難だと打ち明けた。
ウェブ氏は「この協定は米国をウクライナにさらに深く結びつける。なぜなら、戦争が終結し、これらの資産が開発可能になることで米国が得る利益が、以前より少し大きくなったからだ」と語った。
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