ニュース速報
ワールド

中国、景気テコ入れへ国債発行「大幅増」 国有銀の資本強化

2024年10月13日(日)12時44分

10月12日、中国政府は国債発行を「大幅に増やす」と発表した。北京の建設現場で7月撮影(2024年 ロイター/Tingshu Wang)

Kevin Yao Joe Cash

[北京 12日 ロイター」 - 中国の藍仏安財政相は12日の記者会見で、国債発行を「大幅に増やす」と発表した。低所得者への補助金支給や不動産市場支援、国有銀行の資本補充に充て、低迷する経済成長の回復を後押しする。

新たな経済てこ入れ策の規模には言及しなかった。藍氏は、「中国にはまだ債務を発行する余地が十分ある」と述べた上で、景気の変動を抑制するカウンターシクリカル対策を今年さらに講じる予定だと述べた

藍氏は、政府が地方政府の債務問題の解決を支援すると述べた。地方政府には、特別債発行枠や未使用資金など、第4・四半期に2兆3000億元(3255億ドル)の支出余地があるとし、地方政府が不動産開発業者から未使用の土地を買い戻すことが可能になると説明した。

<矢継ぎ早の施策発表>

中国は、不動産市場の急速な冷え込みと消費者信頼感の低迷により強いデフレ圧力に直面、世界の貿易環境が緊迫する中で、輸出への過度の依存によるきしみもでている。

ここ数カ月は各種経済指標が予想を下回り、エコノミストや投資家の間では、今年の政府の約5%の成長目標が達成されない可能性や、長期的な構造的減速が起こる恐れへの懸念が高まっていた。

そんな中、中国人民銀行が9月下旬、預金準備率や住宅ローン金利の引き下げなど、不動産部門支援に向けた一連の措置を公表した。

数日後、中国共産党の意思決定機関、中央政治局が月例会合で経済の逆風に対する危機感を示し、経済運営上、新たな問題が生じていると認めた。ロイターは、中国が新たな経済刺激策の一環として今年約2兆元(2844億3000万ドル)相当の特別国債を発行する計画だと報道。ブルームバーグは、経済を下支えするため、中国が主に新たな国債の発行を通じて大手国有銀行に最大1兆元の資本注入を検討していると報じた。

中国が打ち出す景気刺激策に世界の金融市場が注目し、中国株式市場も上昇した。

<なお見えない具体像>

しかし藍財政相の会見では、特別国債の発行規模など具体的な内容は示されなかった。国債の追加発行は全国人民代表大会(全人代)の承認を必要とする。全人代常務委員会は数週間内に開催される可能性がある。

OCBC(シンガポール)の投資戦略マネジングディレクター、バス・メノン氏は、会見について「強い決意が示されたが、数字的な具体性に欠ける」と指摘。株式市場の上昇維持に向けた超大型財政刺激措置への期待は空振りとなった格好で市場の一部で失望が広がる可能性があると述べた。

多くのアナリストは、脆弱な消費、債務によるインフラ投資への過度の依存など、根深い構造的問題に政府がしっかりと取り組む必要があると指摘している。

中国の景気対策としての財政支出の大半は依然として投資に回されているが、収益は減少しており、地方政府は13兆ドルの負債を抱えている。

藍財政相は会見で、さらなる改革が「段階を踏んで」発表されると述べた。

上海安放私募基金管理のクレジットリサーチディレクターのHuang Xuefeng氏は、需要喚起や投資拡大につながる施策を取らなければデフレ圧力を緩和するのは困難だと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イランの表向きの姿勢と非公式発言異なる、協議は順調

ワールド

米、ベネズエラ大使館を再開 外交関係の再構築が進展

ビジネス

ECB、「インフレ期待が漂流」なら迅速に対応=ギリ

ワールド

トルコ領空にイラン発射の弾道ミサイル、NATO迎撃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 6
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 7
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 8
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 9
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 10
    イタリアに安定をもたらしたメローニが国民投票で敗…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中