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トランプ氏、政権のEV奨励が雇用奪うと批判 自動車工場で演説

2023年09月28日(木)13時44分

トランプ前米大統領は27日、電気自動車(EV)へのシフトによって自動車労働者は時代にそぐわなくなるため、大手自動車メーカーとの交渉で労働組合が有利な条件を勝ち取るかどうかは重要ではないと述べた。写真はトランプ氏。2023年9月27日に米ミシガン州で撮影。(2023年 ロイター/Rebecca Cook)

Nathan Layne Kanishka Singh

[27日 ロイター] - トランプ前米大統領は27日、電気自動車(EV)へのシフトによって自動車労働者は時代にそぐわなくなるため、大手自動車メーカーとの交渉で労働組合が有利な条件を勝ち取るかどうかは重要ではないと述べた。

この日行われた共和党の2024年大統領選候補者による2回目の討論会を欠席し、ミシガン州デトロイト近郊にある非組合系の部品工場で労働者を前に演説した。

自動車メーカーがEVへのシフトに積極的に投資する中、トランプ氏は米自動車産業は数年で巨額の赤字に陥るとの見方を示した。

「今後2週間、3週間、5週間で(自動車労働者が)何を得るかに関心はない。(工場は)閉鎖され、自動車は中国など他の場所で製造されることになる」と主張。「2年後には誰もが失業しているのだから、(交渉で)何を得ようが同じことだ」と述べた。

トランプ氏はバイデン大統領のEV奨励策が業界全体で雇用喪失を招くと批判してきた。

これに対しバイデン陣営は声明を発表し、トランプ氏は「億万長者のペテン師」で、在任中は労働者階級のことを気にかけず企業寄りの政策を推進し、雇用を海外に流出させたと批判。

「トリクルダウン減税や工場閉鎖、中国への雇用移転といった失敗から目をそらすためにバイデン大統領の政策を巡り嘘をついている」と主張した。

米自動車メーカーはEVシフトを推進するバイデン政権の政策は過剰なコスト負担につながる恐れがあるとしているが、トランプ氏が述べたような経営破綻に向かっていることを示す証拠はない。

バイデン氏は26日、ミシガン州で行われているストライキのピケ現場を視察し、40%の賃上げを求める全米自動車労働組合(UAW)側の要求に対する支持を表明していた。

トランプ氏は20年大統領選で、約15万4000票差でミシガン州を落とした。同州はペンシルベニア、ウィスコンシン両州とともに、トランプ氏が16年選挙で勝利したが20年には敗れたラストベルト(さびた工業地帯)と呼ばれる3州の一つで、来年の大統領選でもこの3州が民主、共和両党にとって重要な州になるとみられる。

大統領戦で勝利すれば政府のEV推進を止めると約束し、UAWに対し支持を求めた。

ロイター
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