ニュース速報

ワールド

日米防衛指針18年ぶりに改定、世界的な同盟強調

2015年04月28日(火)00時41分

 4月27日、日米は防衛協力指針の改定に合意した。写真は安倍首相(右)と握手するオバマ大統領。都内で昨年4月撮影(2015年 ロイター/Larry Downing)

[ニューヨーク/東京 27日 ロイター] - 日米両政府は27日、自衛隊と米軍の役割分担を定めた防衛協力の指針(ガイドライン)の改定に合意した。日本が整備を進める安全保障法制で自衛隊の活動内容拡大をにらみ、世界の安定のために両国が協力を深めることを強調している。

ガイドラインの見直しは18年ぶり。日本とその周辺の安全確保に主眼を置いてきた日米同盟は、地理的範囲、内容ともに大きく広がり、新たな段階に入る。

<共同作戦計画を策定へ>

日米の外務、防衛担当閣僚が同日ニューヨークで会談し、合意した。両国は今後、新ガイドラインに基づき、自衛隊と米軍の共同作戦の策定に入る。

1997年に作られた現行のガイドラインは、日本有事のほか、朝鮮有事を念頭に日本周辺で武力衝突が起きた場合の自衛隊と米軍の役割分担を定めていた。新ガイドラインは、日本を守るための協力体制を見直しただけでなく、自衛隊による米軍の支援を世界規模に広げた。

合意文書は「アジア太平洋地域及びこれを超えた地域が安定し、平和で繁栄したものとなるよう」にすることが指針の目的としたうえで、「日米同盟のグローバルな性質」を強調すべき事項のひとつと明記している。

日本が周辺事態法を改正することを見越し、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態が起きたと判断すれば、南シナ海や中東といった日本から離れた場所でも、そこで戦う米軍に自衛隊が補給などの後方支援を行うことを盛り込んだ。

また、国際平和支援法を新設することをにらみ、国際的な安全確保のために軍事活動を行う米軍を後方支援することも、自衛隊の役割として明記した。

<米軍の打撃力行使に日本が関与へ>

日本そのものの防衛については、平時から有事まで切れ目のない協力を打ち出した。哨戒や訓練など平時での協力内容を強化したほか、現行ガイドラインにはない武力攻撃までは至らない侵害、いわゆる「グレーゾーン事態」が起きた場合の役割分担を追加した。有事に至る以前の段階での協力を深めることで、抑止力の向上につながるとにらんでいる。

日本が武力攻撃を受けた場合の対応では、尖閣諸島(中国名:釣魚島)をはじめとする南西諸島など、中国の台頭で脅威が高まっている島しょ部に対する対応を新たに盛り込んだ。日本が新設する水陸両用部隊を中心に、自衛隊が主として上陸阻止、奪還作戦を行い、米軍が支援するとしている。

巡航ミサイルなどを使って、敵のミサイル発射台などを叩く打撃力に関する記述も見直した。能力を保有する米軍が作戦を行う部分は現行と同じだが、自衛隊が「必要に応じ、支援を行うことができる」と追加した。

日本はこれまで打撃力を完全に米国に依存してきたが、自衛隊が能力を保有しないまでも、何らかの形で関与できるようになる。

<集団的自衛権で具体例、シーレーン防衛で機雷掃海>

新たな安保法制で日本が集団的自衛権を行使できるようになることも、新ガイドラインに反映された。具体的な作戦事例として、米国領に向けて飛ぶ弾道ミサイルを日本が撃ち落とすことを念頭に、ミサイル迎撃で協力することや、ホルムズや対馬といった国際海峡を念頭に、シーレーン(海上交通路)防衛のために機雷掃海で協力するこなどを明記した。

ガイドラインは79年に初めて策定され、当初は日本有事の際の役割分担を定めていた。97年の改定で日本周辺で有事が起きた場合の対応が加わった。

中国が急速に力を伸ばしてきたこと、軍事技術の発達で脅威が瞬時に世界に広がるようになったこと、宇宙やサイバー空間など新たに防衛が必要な分野が出てきたことを受け、日米は2013年秋に再改定することで合意した。

本来は14年末までの作業完了を目指していたが、安保法制をめぐる日本の議論が遅れていたことから、半年ほど先延ばしされていた。

(久保信博 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英企業、向こう1年の賃金上昇予想3.7% 若干緩和

ビジネス

金、今年前半に5000ドル到達も 変動大きい年とH

ワールド

イスラエル軍、ガザのロケット発射地点を攻撃 停戦違

ワールド

軍民両用品目の対日輸出規制強化、民生用途に影響せず
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 5
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 6
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 9
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 10
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中