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金利先高観から「下期偏重」で円債買い、年間残高は減少=明治安田生命・25年度下期運用計画

2025年10月21日(火)15時00分

 10月21日、 明治安田生命保険は2025年度下期の一般勘定運用について、金利先高観から超長期国債を中心に円建て債券を積み増す計画を示した。都内の同本社前で2009年7月撮影(2025年 ロイター)

Tomo Uetake

[東京 21日 ロイター] - 明治安田生命保険は2025年度下期の一般勘定運用について、金利先高観から超長期国債を中心に円建て債券を積み増す計画を示した。ただ保有債券の償還が買い入れ額を上回るため、年度ベースでは円債残高の減少を見込む。

北村乾一郎執行役員・運用企画部長が21日、資産運用方針説明会で明らかにした。

このうち円金利資産の核となる円建て債券は、金利リスク削減と長期安定的な利息配当金収入の確保に向け、「20年債と30年債を半々のイメージ」(北村氏)で超長期国債を積み増す。

金利先高観から上期は円債投資を抑制し、「下期偏重」で買い入れを実施する計画だが、保有債券の償還が買い入れを上回るため、年度を通じた円債残高は前年度並み(3900億円)の減少を見込む。

一方、国内金利の上昇(債券価格は下落)に伴い今年度に減損の基準に抵触した保有債券はないという。

足元の新発30年国債利回りは3.115%だが、北村氏は「今は高市(早苗)新政権の財政政策や米インフレ懸念を巡る不確実性があるので、まだ見守っている」と説明。「まだ金利が上がるポテンシャルが少なからずあろう、まだ最大3.5%(への上昇)はあろうということで、金利が上昇していく途中途中の過程で買い入れを行っていきたい」という。

一方で下期に金利がそれほど上がらない場合は、あまり買わず、買い入れを26年度に回すのでも遅くはないとも付け加えた。

日銀の金融政策見通しについて、同社では従来想定よりも利上げが緩やかなペースになるとして、今年度はあと1回、来年1月に0.75%への引き上げがあると予想する。また26年度は7月と1月に1回ずつ、追加利上げが実施されるとのシナリオを描く。

外国債券のうちソブリン債は、為替の見通しやヘッジコストに留意しつつ、利回りの高い国を中心にヘッジ付きで積み増す一方、オープンでの投資は減少させる。

またヘッジ付きの海外クレジットは、上期はスプレッドの取れる米国の高格付け銘柄を中心に積み増したが、下期は総合収益(トータル・リターン)の向上に向けて低利回り債券を売却する。年度を通じた残高は減少を見込む。

一方、国内株式については、総合収益の向上につながる銘柄入れ替えを継続するが、下期については売り目線で臨む。政策投資株式の買い入れを除くと、年度ベースでは残高は減少する見込み。

日経平均株価が初の5万円の大台乗せをうかがう展開となっていることについて、北村氏は株価収益率(PER)や1株当たり利益(EPS)を引き合いに、「日本の株価は健全で、まだバブルには達していない。(企業利益の)成長を伴った株価上昇」との見方を示した。

外国投信を含む外国株式は、自社のニューヨーク拠点を活用してプライベート・エクイティやプライベート・デットを中心に積み増し、年度ベースでは残高増加を見込む。

このほか投資用不動産は、市況を見極めながら大都市圏を中心に保有物件の建て替え・再開発、新規物件への投資を行い、残高を増やす。

明治安田生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で45兆6603億円。うち外貨建て資産は15兆1840億円(33.3%)。

2025年度下期の相場見通し(レンジと年度末中央値)は以下の通り。*は上方修正を検討中。

日本国債10年物利回り  1.25―2.00%(1.60%)

日本国債30年物利回り     非 公 表  (レンジ上限は3.50%)

米10年国債利回り    3.30―4.80%(4.00%)

日経平均株価      *3万6000―4万6000円(3万9000円)

NYダウ        *3万9000─4万6500ドル(4万2000ドル)

ドル/円        *130―155円(140円)

ユーロ/円       *149―171円(160円)

ロイター
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