ニュース速報
ビジネス

米PCE価格、6月前年比+2.6%に加速 関税措置で輸入価格上昇

2025年08月01日(金)03時13分

米商務省が31日発表した6月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.6%上昇し、前月の2.4%から加速した。ニューヨーク市内の生鮮食品店で15日撮影(2025年 ロイター/Jeenah Moon/File Photo)

[ワシントン 31日 ロイター] - 米商務省が31日発表した6月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.6%上昇し、前月の2.4%から加速した。トランプ米政権が掲げる関税措置で一部の輸入品価格が押し上げられていることが背景。物価圧力が下半期に高まり、米連邦準備理事会(FRB)は少なくとも10月まで利下げを再開しないとの見方が裏付けられた。

物価の「瞬間風速」を示す前月比は0.3%上昇、ロイター調査によるエコノミスト予想も0.3%上昇だった。5月は0.1%上昇から0.2%上昇に上方修正された。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比2.8%、前月比0.3%上昇した。前月は前年比2.8%、前月比0.2%上昇だった。医療費や金融サービス・保険のコスト上昇などが押し上げ要因となった。

フィッチ・レーティングスの米国経済調査責任者オル・ソノラ氏は「連邦準備理事会(FRB)は足元のインフレ動向を歓迎しないだろう。インフレは目標に向けて収束するのではなく、明らかに乖離(かいり)している」と指摘。「こうした道筋で、9月または10月の利下げに対する現在の見通しが複雑化する可能性がある」と語った。

FRBは29─30日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定。パウエルFRB議長のFOMC後の記者会見の発言を受け、FRBは次回9月の会合で利下げを再開するとの見方が後退していた。

6月は、財(モノ)の価格の伸びが1月以来の大きさとなった。家具や家庭用機器、その他の耐久財も1.3%上昇し、伸びは2022年3月以来の大きさとなった。前月は0.6%上昇だった。レクリエーション用品、乗用車は0.9%上昇。前月の横ばいから伸びは24年2月以来の大きさとなった。衣料品、靴類は0.4%上昇した。

ガソリンやその他のエネルギー製品の価格は0.9%上昇。過去4カ月連続下落から反転した。

サービス価格は0.2%上昇。4カ月連続上昇となった。

<個人消費と個人所得、共に0.3%増> 

個人消費支出は前月比0.3%増、エコノミスト予想は0.4%増だった。 エコノミストは、関税による圧力と労働市場の減速で、個人消費は第3・四半期に抑制されると予想。インフレ調整後の個人消費は0.1%増にとどまり、伸びの鈍化がすでに進行している可能性が示唆された。

個人所得は0.3%増加。貯蓄率は4.5%と横ばい。貯蓄性向の高まりも消費支出の抑制につながる可能性がある。

EYパルテノンのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「消費支出はこれまで堅調な所得の増加に支えられてきたが、今や労働市場の冷え込みとインフレ圧力の再燃という向かい風に直面している」と指摘。ネイションワイドの金融市場エコノミスト、オーレン・クラチキン氏は「6月の数字のほか、過去のデータの改定を踏まえると、第3・四半期の個人消費はかなり弱いものになる」との見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

パウエル氏利下げ拒否なら理事会が主導権を、トランプ

ビジネス

米雇用、7月+7.3万人で予想下回る 前月は大幅下

ビジネス

訂正-ダイムラー・トラック、米関税で数億ユーロの損

ビジネス

トランプ政権、肥満治療薬を試験的に公的医療保険の対
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 10
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中