関税は生産性を低下させインフレを助長=クックFRB理事

米連邦準備理事会(FRB)のクック理事は9日、トランプ米政権が打ち出している貿易政策は米国の生産性を抑制する可能性があり、経済効率が低下する中でインフレを抑制するために金利の引き上げが必要になるかもしれないとの認識を示した。ニューヨークで2024年6月撮影(2025年 ロイター/Shannon Stapleton)
[パロアルト 9日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクック理事は9日、トランプ米政権が打ち出している貿易政策は米国の生産性を抑制する可能性があり、経済効率が低下する中でインフレを抑制するために金利の引き上げが必要になるかもしれないとの認識を示した。
スタンフォード大学フーバー研究所が開催した会合向けの講演原稿で「目先、最近の貿易政策の変更とそれに関連する不確実性が生産性の足かせとなると予想する」と述べた。
米政権の政策を巡る不確実性は投資を抑制する可能性があり、中間財や設備の輸入コストが上昇すれば、生産性を向上させるはずのプロジェクトが先延ばしされる可能性もあると指摘。
「貿易政策をめぐる不確実性は、今後、企業投資を減少させるとみられる。現時点で企業は関税の最終的な水準や発生率、期間を把握していない。輸入資材・部品のコスト上昇も、企業の投資計画の遅延や縮小を引き起こす可能性がある」とした。
設備投資の減少は「技術革新や採用の遅延、全体的な効率性の低下につながり得る」とし、貿易障壁の高まりは「効率性で劣る企業を支える」ことになり、経済の競争力を低下させる可能性があると指摘し、サプライチェーン(供給網)の混乱も非効率性につながると述べた。
人工知能(AI)は生産性を向上させる可能性があるが、長期的な実質的結果はまだ分からないとした。
関税は潜在的な生産を低下させる可能性があるとし、「潜在的国内総生産(GDP)の減少は、経済のスラック(緩み)が減りインフレ圧力が高まることを意味する」と述べた。