ニュース速報
ビジネス

対米貿易戦争でユーロ圏インフレ上昇、成長減速へ=ECB総裁

2025年03月21日(金)12時52分

 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、米国との全面的な貿易戦争が起こればユーロ圏経済は大打撃を受け、インフレが急上昇する可能性があるとし、解決策は貿易の統合を強化することだと提言した。パリで2024年1月撮影(2025年 ロイター/Stephanie Lecocq)

[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、米国との全面的な貿易戦争が起こればユーロ圏経済は大打撃を受け、インフレが急上昇する可能性があるとし、解決策は貿易の統合を強化することだと提言した。

ラガルド総裁は欧州議会の経済金融委員会で、米が欧州からの輸入品に25%の関税を課せば、初年度にユーロ圏の成長率を約0.3%ポイント下押しする見込みだが、報復措置を取ればそれが0.5%ポイントに拡大する可能性があると指摘した。

「短期的には、欧州連合(EU)の報復措置と、米国の欧州製品に対する需要低下によるユーロ安により、インフレ率を約0.5%ポイント押し上げる可能性がある」と述べた。「中期的には、経済活動の低下に伴いインフレ圧力が弱まるため、影響は緩和される」と予想した。

ただ、いかなる想定にも「相当な」不確実性があると強調した。

その上で、ECBとしては「警戒」を怠らず、物価安定のために行動する用意があるとした。次の行動はまだ決めておらず、会合ごとに決定していくと説明した。

ラガルド総裁は、貿易の統合を進めることが貿易戦争の解決策となり得るとし、それによって米国の措置による悪影響を相殺することも可能との見方を示した。

「ECBの分析によると、他国とのより緊密な統合は、報復措置を含む一方的な関税による損失を相殺する以上の効果をもたらす可能性がある」とし「その場合、孤立主義的な政策をとる国だけが損失を被ることになる」と述べた。

また、ドイツの軍事費拡大とインフラ強化に向けた大規模支出計画を歓迎。債券利回りが急騰するとの懸念については、「市場は長期的な資金調達で将来の成長加速につながるとみているのではないか」と述べ、重視しない考えを示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英BP、第2四半期は原油安の影響受ける見込み 上流

ビジネス

アングル:変わる消費、百貨店が適応模索 インバウン

ビジネス

世界株式指標、来年半ばまでに約5%上昇へ=シティグ

ビジネス

良品計画、25年8月期の営業益予想を700億円へ上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中