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アングル:イタリア景気減速、レンツィ首相に最悪のタイミング
8月12日、イタリアの第2・四半期国内総生産(GDP)は前期比横ばいにとどまり、3年にわたった景気後退を抜け出した昨年初め以降では最も低調となった。写真はローマでの記者会見でジェスチャー交じりで話すレンツィ首相。6月撮影(2016年 ロイター/Tony Gentile)
[ローマ 12日 ロイター] - イタリアの第2・四半期国内総生産(GDP)は前期比横ばいにとどまり、3年にわたった景気後退を抜け出した昨年初め以降では最も低調となった。銀行支援問題と、上院改革などの憲法改正の是非を問う国民投票の可決に向けた世論形成の、どちらにも苦戦しているレンツィ首相にとっては、最悪のタイミングで景気減速が訪れたと言えるだろう。
レンツィ氏は経済再生を通じて自らの信認を高めたいと考えており、今月に入ってCNBCテレビで「とにもかくにも成長だ。これが私の最優先課題であり、夢にも悪夢にもなる」と語っていた。
第2・四半期のデータを見ると、悪夢となってしまう様相が濃い。政府の年間成長見通しと公的債務の削減目標は、いずれも達成が困難である状況がうかがえるためだ。レンツィ氏が掲げる「イタリアは再始動しつつある」というスローガンも、国民の間に浸透していない。
イタリア国家統計局(ISTAT)によると、今年第1・四半期の家計購買力は平均で1999年の同じ時期よりも若干低くなった。
ローマ北部で飲食店を経営するジャンカルロ・サッコ氏は「景気回復など全くない。私の毎月の稼ぎは、いつも過去の年より少ない。本当なら多くなるはずなのに」と嘆く。
サッコ氏は中小企業経営者にとって税金が痛手だと語る。レンツィ氏は改革を約束しているものの、財政基盤が強化されない限り具体的な改革余地は乏しくなる。
イタリア政府は今年の成長率を1.2%にすることを目指しているが、パドアン経済財務相は、欧州連合(EU)離脱派が勝利した英国民投票の結果が成長の足を引っ張る恐れがあると警告している。
国際通貨基金(IMF)と経済協力開発機構(OECD)の予想では今年のイタリアの成長率は1%以下になりそうだ。
経済が不安定なだけに、レンツィ氏が積極的に国民投票を実施しようとしていることは金融市場で不安材料になっている。
国民投票が可決されるかどうかはなおはっきりせず、格付け会社DBRSは結果を巡る不透明感について深刻に懸念していると表明した。
レンツィ氏は国民投票が否決されれば首相を辞めると約束したが、最近ではひそかにこの行動は間違いだったと漏らしている。
世論調査によると、国民の間で憲法改正案の賛否はほぼきっ抗している状況。レンツィ氏は政治の安定につながると主張する一方、批判派は民主的なチェック・アンド・バランスの機能が失われるとみている。
こうした中である調査では、46%がまだ賛成か反対か態度を決めていないことが分かった。
DBRSは総額3600億ユーロの不良債権を抱える銀行についても心配している。
投資家は既に及び腰で、イタリアの銀行株は年初来で49%下がった。多額の債務を抱えた銀行は、経済成長を支える企業への融資を減らしている面もある。
政府はこれまでに、不良債権買い取りと経営危機の銀行に対する資本増強のための2つの基金の立ち上げ、不良債権売却をしやすくするための保証付与などに尽力してきた。
しかしキエーティ・ペスカーラ大学のアルベルト・バグナニ教授(経済政策)は、そうした措置だけでは不十分だと指摘。「経済成長なくして銀行問題解決の道はない。国全体の稼ぎが増えなければ、民間でも公的機関でも借金は返せない」と述べた。
(Isla Binnie記者)





