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インタビュー:米利上げで円安なら日銀追加緩和は必要ない=浜田氏

12月8日、内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授はロイターのインタビューで、今月の米FOMCで利上げが行われ、ドルが130円方向に反応すれば日本経済にプラスで、日銀の追加緩和は必要ないとの見解を示した。都内で2014年撮影(2015年 ロイター/Issei Kato)
[東京 8日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は8日、ロイターとのインタビューに応じ、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが行われ、円安に反応すれば日本経済にプラスとし、日銀による追加緩和は必要ないとの見解を示した。
浜田氏は、アベノミクスの旧3本の矢のうち、特に金融政策の効果によって「期待された効果が表れている」と評価した。効果自体は導入当初よりも「穏やかになっている」としながらも、この間に多くの雇用が創出された実績を強調。アベノミクス批判に対し、「ここで止めたら過去20年間の不況が戻ってくることになる」と反論した。
一方、日銀が目標に掲げている消費者物価(総合)の前年比上昇率2%は、見通しの目安としている生鮮食品を除いたコアCPIで足元ゼロ%程度。インフレ率は低迷した状況にあるが、原油安を受けたエネルギー価格の下落が原因とし、総合やコアの2%に「こだわる必要はない」とした。
そのうえでエネルギーの影響を除いた日銀版コアコアCPIで2%を目指すべきとし、「遠くない時期に2%に持っていくべき」と主張。同指数は10月に同プラス1.2%まで上昇しており「いいサイン。アベノミクスは機能しているということだ」と自信を示した。
米連邦準備理事会(FRB)が今月15、16日のFOMCで利上げに踏み切るとの見方が強まっているが、浜田氏は米利上げによって円安が進めば「日本の需要にプラス」と指摘。日銀の金融政策運営は「しばらく米金融政策の影響などの様子を見るべき」とし、ドル/円
中国の実体経済がさらに悪化した場合、「すべてを財政・金融でオフセットし、日本の完全雇用を保つのは難しい」としたが、「労働市場が悪くなる時は、日銀が追加緩和をしなければならない」と語った。
政府・与党は2016年度の税制改正において、法人税の実効税率の引き下げ幅を当初の予定よりも拡大し、現行の32.11%から29.97%とする方針。浜田氏は「大胆で勇気のある法人税減税が必要」との認識をあらためて示し、20%台半ばの中国や韓国、20%の英国よりも低い水準を目指すべきとの見解を示した。
*内容を追加します。
(伊藤純夫 金子かおり 編集:田巻一彦)