最新記事
中東

ガザ病院爆発の惨劇受け中東全域でイスラエルへの抗議活動 米ワシントンでもデモ

2023年10月19日(木)10時29分
ロイター
アンマンの抗議デモ

パレスチナ自治区ガザの病院が攻撃され数百人の死者が出たことを受け、中東各地で反イスラエル抗議活動が拡大している。18日、アンマンで撮影(2023年 ロイター/Alaa Al Sukhni)

数百人が死亡したパレスチナ自治区ガザの病院に対する攻撃を受け、中東各地で反イスラエル抗議活動が拡大している。一部は暴徒化し、治安当局との衝突による死者も出た。

パレスチナ当局は18日、イスラエル軍がヨルダン川西岸のラマラ近郊で10代のパレスチナ人2人を射殺したと発表した。住民によると2人はイスラエルに抗議してタイヤに火をつけようとしていたという。

レバノンでは、ベイルート北部の米大使館付近での抗議行動がエスカレートし、治安部隊が催涙ガスと放水銃で鎮圧に乗り出した。

イランでは、全土で政府主催のデモ行進が行われ、デモ隊は「アメリカに死を」「イスラエルに死を」と書かれた横断幕を掲げて行進した。イランはパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの後ろ盾であり、イスラエルと長年にわたり対立関係にある。

イラクでは、イランが支援するシーア派民兵グループの支持者約300人が、バグダッド中心部の旧米軍管理区域(グリーンゾーン)に通じる橋の近くで抗議活動を行った。

ヨルダンの首都アンマンでは、数千人がイスラエル大使館へのデモ行進を計画していたが、機動隊が押し返した。警察によると、デモ隊はイスラエル大使館付近の敷地に放火。この衝突で警官数人が負傷した。

イエメンでは、首都サヌアで数千人がデモ行進した。フーシ派の幹部はイスラエルの嘘と憎悪を非難し、戦意をむき出しにした。

デモは中東地域だけに収まらず、米首都ワシントンでもユダヤ系の平和活動団体がバイデン政権と連邦議会に対し停戦を求めて声を上げた。

200人ほどのデモ参加者の多くは「平和へのユダヤ人の声(Jewish Voice for Peace)」という団体のメンバー。「全世界が注視している」と即時停戦を訴えた。

中東情勢の悪化を受け、各国は国民に対し警戒を呼び掛けている。

サウジアラビアは自国民に対し、レバノンからの退避を勧告。レバノン南部国境付近で武装組織ヒズボラがイスラエル軍と銃撃戦を繰り広げている状況を理由に挙げた。

フランス外務省も、自国民にレバノンへの渡航を控えるよう勧告していると述べた。

このほか、欧州各地で治安への懸念が高まっている。イタリアは、特に混雑した場所での監視や、攻撃の標的になりそうな場所の警備を強化した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

キャメロン英外相、偽ウクライナ前大統領とビデオ通話

ワールド

デンマーク首相、首都中心部で襲われる 男を逮捕

ワールド

焦点:フランスのムスリム系学校、イスラム主義締め付

ワールド

アングル:肥満症治療薬、有望市場の中国で競争激化の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナの日本人
特集:ウクライナの日本人
2024年6月11日号(6/ 4発売)

義勇兵、ボランティア、長期の在住者......。銃弾が飛び交う異国に彼らが滞在し続ける理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らかに ヒト以外で確認されたのは初めて

  • 2

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車が、平原進むロシアの装甲車2台を「爆破」する決定的瞬間

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    【独自】YOSHIKIが語る、世界に挑戦できる人材の本質…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    正義感の源は「はらわた」にあり!?... 腸内細菌が…

  • 9

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 10

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 3

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が34歳の誕生日を愛娘と祝う...公式写真が話題に

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 5

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 6

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「…

  • 7

    「サルミアッキ」猫の秘密...遺伝子変異が生んだ新た…

  • 8

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らか…

  • 9

    アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品…

  • 10

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 8

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 9

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中