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日本ASEAN友好協力50周年記念国際シンポジウム

一国主義が広がる世界に対し、日本とASEANが新しい将来像を提示する。

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2023年4月18日(火)11時00分

国際交流基金の佐藤百合理事

閉会の挨拶をする国際交流基金の佐藤百合理事。国際交流基金として、長期的な関係性の深化を見据えた多彩な人的交流活動を続けていく意思を示した。

続くセッション「持続可能で豊かな社会の実現に向けて」では、紛争が地域に与える影響、教育格差、エネルギー転換、宗教、女性の権利など、より幅広く具体的な課題に話題が広がった。カンボジア国立銀行副総裁のチア・セレイ氏は「われわれ全員は同じ船に乗っている。競争によって隣人や生活、気候を犠牲にして、最終的に残るのは何なのか。人々がどんな苦労をしているのか、理解することが必要」と訴えた。

ここまでの議論を踏まえ、最後のセッション「人々の相互理解と信頼醸成に向けて」では、主にアートの分野で活躍する'80年代生まれのパネリストを招き、課題が山積する社会においてアートが果たす役割を探った。「アートは歴史や記憶を考える場になる。この10~15年間、ASEANのアーティストの間では、各国の内戦や紛争が起こった時代に目を向ける動きがあった。作品を通じて、創造的かつ批判的に過去を振り返り、文脈を共有し、議論することができる」と答えたのは、パフォーマンス作家・キュレーター・研究者のマーク・テ氏。日本やASEAN諸国の間で、互いの歴史や文化について理解を深めるため、アートが大きな役割を果たすという見解を示した。

日・ASEANで課題を共有し、政治経済・社会・文化の3つの側面から、解決の糸口を探った本シンポジウム。閉会の挨拶として、国際交流基金の佐藤百合理事は、この日の成果をこう振り返った。「安全保障もビジネスも、ベースにあるのはやはり人と人とのつながり。お互いに認め合い、学び合える関係を深めていく必要があると改めて感じた。日本とASEANが半世紀にわたって積み重ねてきた信頼を、どのように世界の平和・安定・繁栄に活かしていくか。これが私たちの使命」。

国際的な信頼関係の源となるのは、互いの文化と立場への理解。今回のシンポジウムのような国際的・分野横断的な議論が、世界平和への礎となることを期待したい。

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