国家転覆を狙う「加速主義者」の標的は「電力インフラ」──未解決事件が相次ぐアメリカ

PROTECTING THE GRID

2023年2月16日(木)15時45分
トム・オコナー(米国版シニアライター)、ナビード・ジャマリ(米国版記者)

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変電所は全米を混乱に陥れたい過激派のターゲットになっている(カリフォルニア州にあるPG&Eの変電所) JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES

テレグラムのある白人至上主義者のチャンネルは変電所や鉄道、商業施設への攻撃を呼びかけており、「水処理施設」を銃撃する2人組の短い動画などを配信している。このチャンネルはまた、ムーア郡の変電所攻撃を「偉大な破壊工作」、反LGBTQの文化戦争の「見事なエスカレーション」とたたえている。

こうした投稿やチャットは匿名で行われるため、捜査当局が攻撃を呼びかけた人物を特定するのは難しい。だが呼びかけの増加が物理的攻撃の増加と一致していることから、その脅威は無視できないと専門家は言う。

電力網テロの大半は未解決

「現代文明は電力に依存している」と、安全保障政策研究所のトミー・ウォーラー所長は本誌に語った。「そのため、極左から極右まで国内外のさまざまな悪人たちが電力網を主要なターゲットに据える」

捜査当局によって、過激派による電力網攻撃計画が阻止されるケースがないわけではない。米司法省は昨年2月、白人至上主義のイデオロギーを推進するために、国内3カ所の変電所の銃撃を計画していた男3人を未然に逮捕・起訴していたことを発表した。だが、実行されたほとんどの事件は未解決のままだ。

過去10年間で最も注目を浴びた事件の1つは、13年4月にカリフォルニア州メトカーフで起きた変電所銃撃事件だろう。犯人(現在も不明だ)は、パシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)の変電所で17の変圧器を銃撃した。

この事件は、社会に混乱を起こしたい過激派が、電力網の脆弱性に本格的に目を付けるきっかけになったようだ。

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