最新記事

ウクライナ情勢

ザポロジエ原発に砲撃、ロシア・ウクライナが互いに相手側の攻撃主張

2022年8月6日(土)09時09分
ウクライナのザポロジエ原子力発電所

ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムは5日、ウクライナ南東部でロシアの管理下にある欧州最大級のザポロジエ原子力発電所の高圧送電線がロシア軍による砲撃を受けたと発表した。4日撮影(2022年 ロイター/Alexander Ermochenko)

ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムは5日、ウクライナ南東部でロシアの管理下にある欧州最大級のザポロジエ原子力発電所の高圧送電線がロシア軍による砲撃を受けたと発表した。発電所は引き続き稼働しており、放射能の漏れは検出されていないという。

また、ザポロジエ原発とザポロジエ火力発電所を結ぶ330キロワットの高圧配電線が損傷したため、原子炉一基を切り離すことを決定したとした。

ザポロジエ原発は欧州最大級の原発。エネルゴアトムによると、原子炉6基のうち2基が現在も稼働している。

一方、ロシアの占領下にあるウクライナ南東部エネルホダルの当局はウクライナ軍の砲撃によりザポロジエ原子力発電所の送電線が切断されたと発表。原発の敷地内で火災が発生したほか、原子炉の安全な稼働に必要な電力が遮断されたとした。

ウクライナ側の説明とは異なり、750キロワットの開閉装置に電気を供給する2本の送電線が砲撃を受け、切断されたという。

ロシア国防省は、ウクライナ軍がザポロジエ原発を砲撃したと非難。「ウクライナ軍の砲弾は石油・燃料施設と酸素プラントに命中しなかったため、大規模火災や放射能漏れは回避された」とした。

ウクライナ外務省は「稼働中の原子炉を攻撃することで、原子爆弾の使用と同様の結果が引き起こされる」とツイッターに投稿。ザポロジエ原発をウクライナ管理下に早急に戻すよう、ロシアに圧力をかけるよう国際社会に呼びかけた。

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は今週に入り、ザポロジエ原発との連絡は途絶えがちだとし、危険な状態にあるか判断するためにアクセスを求めていた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ポーランド、最後のロシア総領事館閉鎖へ 鉄道爆破関

ビジネス

金融規制緩和、FRBバランスシート縮小につながる可

ワールド

サマーズ氏、オープンAI取締役辞任 エプスタイン元

ワールド

ゼレンスキー氏、トルコ訪問 エルドアン大統領と会談
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、完成した「信じられない」大失敗ヘアにSNS爆笑
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 8
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 9
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 10
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中