最新記事

インド

インド政府が進める言論封殺に従ってきたTwitterが、明確な拒絶

2022年7月15日(金)17時50分
青葉やまと

また、特定政党の公式アカウントによるツイートに対し削除命令を出すなど、言論の自由を侵害しているとの批判が絶えない。政治問題では、シーク教による独立国家を支持するアカウントの閉鎖命令を下している。

人口伸びるインドは魅力的な市場だが......

IT法をめぐり、Twitter社とインド政府の溝は深まるばかりだ。米ニューヨーク・タイムズ紙は、Twitter社以外にも複数のソーシャルメディア企業が同法に反発していると報じている。各社は人口の伸びの著しいインドを長期的な成長に欠かせない存在として捉えながらも、厳しい言論弾圧に懸念をにじませる。

業界内では、同法が不適切なものであるとの声も根強い。IT法はインド政府に批判的な人々を広範に検閲する権限を与えるとの批判がある。例えばメッセージアプリのWhatsAppは、ユーザーのプライベートなメッセージを政府関係者が閲覧できるようにするよう求められている。

エコノミック・タイムズ紙はIT業界のデータを開示する透明性レポートをもとに、インドは政府によるコンテンツ削除要請が世界で最も多い国だと報じている。

一方でインド政府関係者は、ネット上のフェイクニュースに対応するうえで、同法は必要不可欠であると主張している。Twitter社による司法審査請求を受け、現地のIT技術相は記者会見し、「国会を通過した法律に従うことは、あらゆる人々の責務である」と強調した。

Twitter社は過去数年間、言論封殺に抵抗姿勢を示してきた。IT法への反発は今回の司法審査請求が初となる。司法審査の結果によっては、今後ほかのIT企業も言論の自由へのうねりに加わる可能性がありそうだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG、オープンAIとの合弁設立が大幅遅延

ワールド

韓鶴子総裁の逮捕状請求、韓国特別検察 前大統領巡る

ワールド

中国国防相、「弱肉強食」による分断回避へ世界的な結

ビジネス

首都圏マンション、8月発売戸数78%増 価格2カ月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中