最新記事

パンデミック

「隔離は御免だ」「政府は未だお粗末」 中国ゼロコロナ政策に市民が不満爆発

2022年3月27日(日)11時53分

中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」には「感染が始まって3年も経つのに、政府の対応は未だにお粗末だ。人々の命や死にまるで無頓着な、怠惰で杓子定規な政府だ」という投稿があった。

経済的な苦境も広がっている。感染拡大が深刻な吉林省長春市で配達の仕事に就くマオさんは、周辺地域は9割方閉鎖され、生活費が稼げないと嘆く。「なすすべがない。街の閉鎖が解除されるのを待つしかない。お手上げだ」

恣意的なルール執行

規則が恣意的な上、地域住民の委員会が勝手な裁量でその執行を担っていることに対しても、住民から苦情が出ている。

例えば北京のある地域では、住民が2週間の自宅隔離命令に従っているかどうか見張るため、住民委員会がアパートのドアに監視装置を取り付けようとしている。住民によると、2日前に感染者が確認されたスーパーマーケットにある家族が立ち寄った件を受けて、この指令が出されたという。

上海では、集合住宅ごとに検査やロックダウンの基準がばらばらなことに戸惑いの声が聞かれる。

しかしこうした政策は単に生活を不便にするにとどまらない。ネット市民は、ロックダウンが招いた深刻な悲劇についても積極的に意見交換するようになってきた。

ウェイボーに先週アップされ、広く拡散された投稿によると、上海中央病院で化学療法を受けていた患者が病院の隣の宿泊施設に隔離されたまま亡くなった。

ネットには、新型コロナ絡みの混乱が原因で愛する人を失ったエピソードも拡散されたが、その後削除された。

ユーザーネームMaDDNaは「父は昨年暮れに脳卒中で亡くなった。治療を受けられる望みもあったのに、残念なことに私たちは(新型コロナの)核酸増幅検査の結果報告を待たなければならず、最良の治療のタイミングを逃してしまった」と投稿した。

(David Stanway記者)


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相次ぐ、「一生このまま」と医師
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・日本のコロナ療養が羨ましい!無料で大量の食料支援に感動の声
・コーギー犬をバールで殺害 中国当局がコロナ対策で...批判噴出


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中