最新記事

2020米大統領選

たとえバイデンが勝っても「トランプのアメリカ」は続く

Even if Biden Wins, It’s Trump’s America Now

2020年11月5日(木)16時55分
ジョナサン・テッパーマン(フォーリン・ポリシー誌編集長)

なぜか。まず、トランプと共和党が強さを見せつけたからには、仮に敗れたとしても、トランプは表舞台から降りないし、共和党は彼を見捨てないだろう。投票前には共和党の「トランプ主義」は終わりを迎えているように見えた。共和党には改革が必要だ、あと4年トランプ時代が続けば、共和党はダメになる──ひそかにそう危惧する共和党議員が続々と現れていた。ジョン・コーニン上院議員のような熱狂的なトランプ派ですら、トランプと距離を置こうとしていた。だがトランプとトランプ派の共和党議員が予想外に多くの票を獲得した今、共和党がすぐにもトランプとトランプ主義を捨て去ることは想像しづらくなった。

共和党と半数近い世論の支持を得たトランプはさらに自信をつけ、大統領の立場であれ、野党のリーダーかフリーのツイッター投稿者、あるいはメディアのスターの立場であれ、何千万人もの関心と支持を集め、その影響力を民主党への嫌がらせと妨害に利用するだろう。そして過去4年間やり続けてきたように、憎悪に満ち、事実に反する「われわれVS専門家を含む彼ら」の対立をあおるメッセージを発信し続けるだろう。共和党内の反トランプ派、つまり、まともな統治や民主主義の手続き、国内外の諸機関の重要性を守ろうとする、かつての党主流派は党内で冷遇されるか、共和党から出て行くこととなる。

ねじれ議会がバイデンを縛る

その結果は悲惨だ。トランプが勝つか、負けても共和党が上院の過半数議席を維持すれば、良くても過去4年間の米政府の機能停止状態が続き、場合によってはさらに悪化するだろう。バイデンが大統領になっても事態の好転は期待できない。上下両院を味方につけた大統領でさえ、就任後2年間はせいぜい1つか2つしか大きな成果を上げられず、有権者を失望させて中間選挙では与党が負けることが多い。たとえバイデンが勝利したところで、民主党が上院の過半数を取らなければ(現時点ではその見込みは薄い)、中間選挙を待つまでもなく、就任後ほどなくして支持率低迷に苦しむことになるだろう。

こうなると先行きは暗い。バイデンはアメリカ政治を変えようとするだろうが、バラク・オバマ前大統領時代を振り返れば分かる。共和党が「何でも反対党」にとどまる限り、政治家としての長いキャリアを通じて超党派の合意づくりに努めてきたバイデンでさえ、共和党と調整を進めて政策を実現できる見込みはほぼゼロだ。

ねじれ議会が続けば、バイデンは手足を縛られたも同然。新型コロナウイルス対策は大統領の権限を行使すれば一定の改善は可能だが、経済政策は議会の承認なしにできることは限られている。いずれにせよ重要課題で成果を上げることは望み薄だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ2都市にロシアが攻撃、和平協議直後

ビジネス

乳児ボツリヌス症の集団感染、バイハート社の粉ミルク

ワールド

北朝鮮抑止「韓国が主な責任」、米国防総省が関与縮小

ワールド

トランプ政権のEVインフラ助成金停止は違法、米地裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な一部」ではないと指摘
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 5
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 8
    コンビニで働く外国人は「超優秀」...他国と比べて優…
  • 9
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 10
    3年以内に日本からインドカレー店が消えるかも...日…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な一部」ではないと指摘
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 10
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中