最新記事

イスラエル

ネタニヤフの5期目続投でイスラエルは独裁へ?

Netanyahu Again?

2020年3月12日(木)18時00分
シュロモ・ベンアミ(イスラエル元外相、トレド国際平和センター副所長)

だがネタニヤフは、ユダヤ民族主義とナショナリズムを利用する名人だった。ユダヤ人有権者の3分の2に上る「見捨てられた」人々は、ネタニヤフ陣営による反アラブの扇動と、リベラルなエリートたちによる世俗主義への非難を好意的に受け止めた。

歯切れがいい対パレスチナ政策にも、彼らは賛同した。ネタニヤフは米トランプ政権の偏向した中東和平案に基づき、パレスチナ人の土地を一方的に接収する計画だ。

ネタニヤフが首相続投に成功すれば、おそらくイスラエルを独裁に向かわせる白紙委任状を得たと考えるだろう。その第一歩は司法を自分に従わせることかもしれない。トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領やポーランドの右派ポピュリスト政権がそうしたように。

©Project Syndicate

<本誌2020年3月17日号掲載>

【参考記事】トランプ新和平案が浮き彫りにした中東の地殻変動
【参考記事】トランプ「世紀の中東和平案」──パレスチナが拒絶する3つの理由

20200317issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症VS人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CPI、4月は前年比+2.3%に鈍化 前月比0.

ワールド

ウクライナ大統領、プーチン氏との直接会談主張 明言

ビジネス

ソフトバンクG、1―3月期純利益5171億円 通期

ビジネス

日産、再建へ国内外の7工場閉鎖 人員削減2万人に積
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王子との微笑ましい瞬間が拡散
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウク…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 9
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中