最新記事

韓国社会

革新系・文在寅でもLGBTには冷淡? 韓国、トランスジェンダー軍人と学生の訴えは......

2020年2月10日(月)18時40分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

記者会見で涙声で「私は大韓民国の軍人です。 ありがとうございます。統一!」と語ったトランスジェンダー軍人ビョン・ヒスさん YTN NEWS / YouTube

<韓国では「人権派弁護士」が大統領になっても、LGBTの人権は守られない>

現在、性の在り方は「男と女」の2つだけではない。LGBTという言葉は、今ではすっかり定着したが、セクシャリティは細かく分けると数十以上存在すると言われている。事実、多様性を認めるアメリカでは、Facebookのプロフィール欄にある性別設定には「男」「女」以外に「カスタム」という項目がある。これを選ぶと計58種類の中から自分に合ったジェンダーを設定することができる。

性の境界がはっきり別れる瞬間

お隣りの韓国では、そんなジェンダーをめぐる論争が波紋を広げているのをご存じだろうか? 時代は「育て分けをしない。どの性も同じように育てよう」という風潮にある。筆者の周りで母になった30〜40代の韓国人の友人たちを見ていてもそのように感じる。しかし、年配の人々や国の方針はまだまだ反対派も多いのが現実だ。

文在寅政権は左派・革新政党ということで、ジェンダー問題に対しても支持する立場で取り組むと思われがちだ。ところが実際は、「基本的に人権侵害は許されないことだが、同性愛は反対」というコンサバな立場を取っている。2017年の大統領選挙の際は、民主党よりも正義党のほうが、LGBTなどの面では先進的な公約をあげて注目されたほどだ。

これはさまざまな理由があるだろうが、その一つとして、韓国では一定の年齢になると性の境がはっきり別れる瞬間が訪れる。それが徴兵制である。

トランスジェンダーになった途端、退職命じられる

ビョン・ヒスさんは、男性として入隊後、副士官まで上りつめる優秀な軍人だったが、2019年11月性適合手術を受けて、韓国史上初のトランスジェンダー軍人となった。

ところが、手術後1月22日に突然軍の退職を命じられる。その後、女性軍隊での任務を希望するがその声は聞き入れられず、民間NGO団体「軍人権センター」のサポートを受け、本人出席での実名記者会見を行った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中