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新型肺炎

新型コロナウイルス肺炎の死者81人に 武漢市、移動制限にも500万人が旅行などで出発

2020年1月27日(月)17時45分

中国の湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎は感染が拡大し、患者数は中国国内で2000人を超え、死者は56人に達している。香港で22日撮影。提供写真(2020年 ロイター)

中国の湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎は感染が拡大し、患者数は中国国内で2744人に増え、死者は81人に達した。

感染拡大の防止に向け、中国政府は春節(旧正月)の連休を延長すると発表し、大手企業の間では休業や、社員に在宅勤務を指示する動きが広がっている。

上海市政府は、企業に2月9日より前の業務再開を認めないと表明した。

武漢市の周先旺市長は国営中国中央テレビ(CCTV)に対し、新型ウイルスの管理が「十分ではなかった」と発言。

衛生当局者によると、死者数は湖北省で昨夜時点の56人から76人に増加したほか、他の地域で5人が死亡した。国内の患者数は約30%増えた。

中国政府の声明によると、同国の李克強首相は27日、武漢市を訪問。首相は、感染拡大を食い止めるための当地での取り組みを視察し、患者や医療スタッフらと話したという。

中国国家衛生健康委員会の馬暁偉主任は26日、新型コロナウイルスの感染力が強まっており、感染者はさらに増加する可能性があるとの見解を示していた。

馬主任によると、新型ウイルスの潜伏期間は1─14日で、重症急性呼吸器症候群(SARS)とは異なり、潜伏期間に感染する可能性がある。

中国国営テレビの中国中央電視台(CCTV)によると、中国国務院(内閣に相当)は感染拡大の防止に向け、春節の連休を3日延長して2月2日までとすると発表した。

またCCTVによると、国内の団体旅行は24日時点ですでに中止されており、27日からは海外への団体旅行も中止される。

武漢市は27日、住民の移動制限を強化。中国市民向けの査証(ビザ)やパスポートに関連するサービスを今月30日まで停止する方針を示した。

武漢市長が26日明らかにしたところによると、移動制限にもかかわらず、500万人が旅行などのため同市を出発している。

中国のソーシャルメディアには、治療を求める患者が武漢市内の病院の廊下にあふれている画像や、野菜などの生活必需品の価格が高騰しているとの不満が投稿されている。

野生生物を違法に取引していた武漢の海産物市場から発生したとみられている新型コロナウイルスは中国国内では北京や上海など他の都市にも感染が拡大している。

中国は26日、市場やレストラン、電子商取引プラットフォームでの野生生物の販売を一時的に禁止した。

感染拡大により中国経済が深刻な打撃を受けるのではとの懸念から、米S&P総合500種Eミニ先物は27日のアジア取引で1%超下落。ニュージーランドの株式市場では旅行関連株が急落している。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は25日、中国の当局や専門家と対応を協議するため、北京に向かっていることを明らかにしている。

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