最新記事

米中激突:テクノナショナリズムの脅威

テクノナショナリズムの脅威──米中「新冷戦」とトランプの過ち

THE WRONG TRADE WAR

2019年1月29日(火)06時45分
ビル・パウエル(本誌シニアライター)

magSR190129wrongtradewar-2.jpg

昨年2月に世界初の5G商用チップを発表するなど(写真上)ファーウェイは半導体開発に注力 ALBERT GEA-REUTERS

magSR190129wrongtradewar-3.jpg

STEVE MARCUS-REUTERS

それだけではない。在中国米商工会議所による2017年の調査では、会員企業の60%が広範に及ぶ保護主義とその加速傾向を指摘し、向こう数年で市場開放がさらに進むとはほとんど(あるいは全く)思えないと回答していた。WTOの一員になれば外国企業に対して技術移転を要求することも減ると期待されたが、そうはならなかった。むしろ「中国製造2025」の下で外国企業への圧力は高まっている。

外国企業は今後、製造・組立拠点を中国国内に設け、往々にして対等未満の合弁事業パートナーとして中国企業に協力しなければならない。さらにマイク・フロマン元米通商代表部代表は、「必要とあれば中国政府が国内企業を守るために大幅な関与を行う」ことも示唆している。

また米議会の米中経済安全保障検討委員会の政策アナリストであるキャサリン・コレスキーは、報告書で「中国はアメリカなどの市場経済国家の開放性を利用して最先端の研究やデータへのアクセスを確保し、資本投下を通じて最先端企業の買収や投資を行い、自国の商品やサービスを海外で自由に売っている。そのために投じられる公的資金の規模と量は、外国企業が中国市場で公正な競争を行う能力を深刻に阻害している」と指摘している。

貿易の専門家たちは、中国の政策を「テクノナショナリズム」と呼んでいる。そして主要テクノロジーの分野で優位に立ちたい中国政府が特に力を入れているのが、AIの活用に欠かせない先端的な半導体の製造だ。

現在、世界の半導体開発をリードしているのはインテルやクアルコムをはじめとする米企業。中国は世界の半導体の50%を消費しているが、調達する半導体の80%は外国製だ。国営メディアによれば、中国は今後10年ほどで自前の半導体産業育成に1600億ドルを投じる考えだ。

<2019年2月5日号掲載>

※この記事は2019年2月5日号「米中激突:テクノナショナリズムの脅威」特集の1記事を一部抜粋したもの。なぜ中国はAIの競争で欧米より優位にあるのか、アメリカはこの戦争をどう戦うべきなのか――。詳しくは「米中激突:テクノナショナリズムの脅威」特集をご覧ください。

ニューズウィーク日本版 トランプの帝国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月10号(2月3日発売)は「トランプの帝国」特集。南北アメリカの完全支配を狙う新戦略は中国の覇権を許し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油

ビジネス

米FRBは年内1─2回の利下げ必要=SF連銀総裁

ワールド

トランプ氏、イランとの取引国に「2次関税」 大統領
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    鉱物資源の安定供給を守るために必要なことは「中国…
  • 8
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 9
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中