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アメリカ経済

「関税マン」トランプが招く貧乏なアメリカ

Tariffs Could Trigger a Recession

2018年12月22日(土)13時45分
ロバート・ライシュ(カリフォルニア大学バークレー校教授、元米労働長官)

ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は重要なのは「力の問題」であり、中国はアメリカの知的財産を盗んで「経済力ひいては軍事力を大幅に」強化していると警告している。あなたにもそう助言したはずだ。

安全保障上の懸念から中国に制裁関税を課しているのなら、もっと有効な手がある。大統領には国防上重要な技術の流出を防ぐため外国企業による米企業の買収を阻止する権限がある。米企業と中国企業との合弁契約も、安全保障上の理由で阻止できるはずだ。米企業に国防上重要な技術を守るよう、罰則付きで義務付けることも可能だろう。

一部の米企業は中国市場に参入できなくなり、多額の利益を失うことになるが、それは大した問題ではない。大統領の役目は企業の利益を守ることではなく、アメリカを守ることにある。

アメリカの消費者に重い逆進税を課し、世界的な景気後退を招くよりはずっとましだ。

<本誌2018年12月25日号掲載>


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