最新記事

北朝鮮

トランプvs.金正恩、腹の探り合い

2018年8月30日(木)13時10分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

米朝首脳会談 両首脳は6月12日、シンガポールで初対面した  Jonathan Ernst-REUTERS

ポンペオ訪朝が中止された。好戦的書簡も理由だろうが、そればかりではない。何としても終戦宣言が欲しく核申告リストとの同時交換を狙う北朝鮮は、米側が満足するリストを出し渋っている。どちらが先に折れるかだ。

北朝鮮からの書簡

8月23日、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、新しく任命された北朝鮮政策特別代表のスティーブン・ビーガン氏(元フォード副社長)とともに「来週」訪朝する予定であると、記者会見で発表した。

米国務省のナウアート報道官は同日の記者会見で、「ポンペオ氏の訪朝に際して、金正恩委員長との会談は予定していない」と予防線を張った。

すると韓国の「朝鮮日報」は24日、ポンペオ氏が8月27日に訪朝することで合意したと、米朝の実務者間の接触で決まったと伝えた。

ところが一方、複数の米政府関係者によると、その同じ日の24日朝に、ポンペオは北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長から書簡を受け取ったとのこと。その手紙は非常に好戦的で、「アメリカは未だ、平和条約に向かって話し合うという北朝鮮の期待に応える準備がない」として、そうであるなら「非核化プロセスが崩壊するかもしれない」と書いてあったという。

ポンペオはその手紙をすぐさまトランプ大統領に見せ、その場でポンペオの訪朝中止を「突然」決定したとのこと。それはポンペオが平壌に向けて発つ、わずか数時間前の出来事だったと、詳細な経緯をCNNが伝えた

金正恩がどうしても終戦宣言を必要とする理由

7月9日付のコラム「金正恩は非核化するしかない」で書いたように、金正恩は米中両国からの要求に挟まれて、「非核化するしかない」のである。

だから内外に「非核化して対話路線に転換する」と宣言してしまった。

「対話路線」が如何にすばらしいかを北朝鮮の一般人民に納得させるには経済を豊かにしなければならない。最も怖いのは軍隊を納得させることだ。そのために事前に軍幹部の核ミサイル開発強硬派は更迭して対話路線を容認する穏健派に人事異動させはしたものの、多くの兵士を納得させるには、なんとしても「終戦宣言」が欲しい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ラガルドECB総裁、任期満了が「基本方針」と表明=

ワールド

米J&Jが整形外科事業売却を準備、評価額最大200

ワールド

新関税と増税、物価への影響一時的=メキシコ中銀

ビジネス

ブルー・アウル、ファンドの解約停止 プライベートク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 5
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 6
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 7
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 8
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 9
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 10
    カンボジア詐欺工場に「人身売買」されたアフリカ人…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中