最新記事

核兵器

北朝鮮との非核化対話、トランプも「失敗の歴史」繰り返すか?

2018年3月9日(金)11時58分

4月8日、トランプ米大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(写真)と5月までに会談する意向を示した。韓国特使として訪米中の鄭義溶・大統領府国家安全保障室長が明らかにした。平壌で2017年12月撮影。KCNA提供(2018年 ロイター)

トランプ米大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と5月までに会談する意向を示した、と韓国特使として訪米中の鄭義溶・大統領府国家安全保障室長が8日明らかにした。また、正恩氏は今後、核・ミサイル実験を控えると表明したという。

北朝鮮に核開発の放棄を促してきた過去の外交対話は、同国の度重なる方針転換や米朝対立によって、失敗の歴史を繰り返してきた。これまでの対話の経緯を振り返る。

●6カ国協議(2003年─2009年) 

金正恩氏の亡くなった父親、金正日総書記(当時)は2003年1月、1985年に加盟した核兵器不拡散条約(NPT)からの脱退を表明。その3カ月後、核兵器の保有を宣言した。

北朝鮮の核開発計画に平和的な解決を模索する目的で、北朝鮮のほか、韓国、中国、米国、ロシア、日本が参加する第1回の6カ国協議が北京で開催された。

2004─05年にかけて6カ国協議は断続的に開催されたが、北朝鮮はミサイル発射実験を継続した。北朝鮮側は、支援と引き換えに実験などの一時停止を申し出る一方、米国などの「敵対的行為」への懸念を表明することが、いつものパターンとなった。

6カ国協議が中断していた2006年、北朝鮮はミサイル実験を加速させる一方で、米国が核の脅威となっていると批判。当時のブッシュ米大統領が警告を発した。

2007年2月に開かれた6カ国協議で、北朝鮮は、重油提供と引き換えに原子炉を停止すると約束。また、凍結された資産2500万ドル(約26億円)の返還を米国に要請。6月に要求が通り、その1カ月後の再協議に道が開かれた。

だが、その年末までに核開発活動の全てを公表するという、北朝鮮の約束は果たされなかった。

2008年5月、北朝鮮は米国に、テロ支援国家の指定解除を要請。米国は同年10月にこれに応じ、北朝鮮は寧辺(ニョンビョン)核施設の取り壊しを再開した。

2009年、国連の安全保障理事会は、ミサイル実験を行った北朝鮮に対し、制裁強化を表明。それまでも査察に反発していた北朝鮮は、これを契機に6カ国協議からの離脱を表明した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去

ワールド

中国主席「中米はパートナーであるべき」、米国務長官
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中