最新記事

中東

イラクの経済腐敗が阻むISIS掃討戦

2018年1月27日(土)14時40分
レナド・マンスール(英王立国際問題研究所研究員)、ヒシャム・アル・ハシミ(イラク政府顧問)

中央銀行をはじめ、内務・国防・財務・外務の各省庁、首相府、治安当局がテロ組織の資金源根絶に取り組んでいる。だがそれぞれの機関は組織力に欠けており、相互協力など到底おぼつかない。

政府内で連携が取れないのは、有力政治家の権力闘争や汚職が原因だ。闇市場でおいしい思いをしている政府高官もいる。腐敗防止委員会に所属するある議員が、自分も含め「全員が汚職に手を染めている」と発言したこともある。本気で取り締まる気など毛頭ないのだ。

こうした腐敗がISISに有利に働き、違法薬物、古美術品、武器の密輸は続く。誘拐もISIS草創期以来、お得意の資金調達手段だ。闇市場の取り締まりが行われない限り、自称「国家」は姿を変えて危険な反乱勢力になるだろう。

イラクはそろそろ有志連合と共に、ISISとの戦いに決着をつける必要がある。それにはまず、腐敗のない、経済構造のしっかりした国家を再建することだ。トランプ米政権もまた本気でISISを屈服させたいなら、軍事作戦だけでなく、資金源の根絶にも本腰で取り組まなければならない。

From Foreign Policy Magazine

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

[2018年1月30日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

バチカン枢機卿、米・イスラエルに停戦求める 異例の

ワールド

イランガス田はイスラエルが攻撃、米・カタール関与せ

ワールド

カタール・エナジー、LNG施設にミサイル攻撃 火災

ビジネス

FRB議長、関税・イラン戦争による物価上昇を警戒 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 10
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中