最新記事

米軍事

トランプ政権、米国製軍用ドローン輸出増狙う 国際的な規制緩和へ

2017年10月16日(月)18時00分

10月11日、「バイ・アメリカン」を標榜するトランプ政権は、米国製の軍用無人機(ドローン)を海外に売りやすくして、この分野で急成長する中国やイスラエルに対抗できるよう、新たな政策準備を完了しつつある、と複数の米高官が明らかにした。写真は軍用ドローンの模型。ペンシルベニア州で昨年7月撮影(2017年 ロイター/Dominick Reuter)

「バイ・アメリカン」を標榜するトランプ政権は、米国製の軍用無人機(ドローン)を海外に売りやすくして、この分野で急成長する中国やイスラエルに対抗できるよう、新たな政策準備を完了しつつある、と複数の米高官が明らかにした。

大統領の側近は、選ばれた同盟国向けのドローン販売に関する国内規制緩和に着手すると同時に、1987年の「ミサイル技術管理レジーム(MTCR)」の再交渉を求めることで、米国製ドローン輸出を巡る国際規制の緩和を目指している、と政府や業界関係者は語った。

中東や南アジアなど紛争地域の不安定化に拍車をかけるリスクがあると人権運動家が警鐘を鳴らすなか、米政権は、国内メーカーからの強い要請を受け、ドローン輸出政策の見直しを進めている。

こうした変化は、米国の武器輸出手続きを全面的に見直す取り組みの一環であり、年内にも大統領令が発令される可能性があると、複数の政権当局者は匿名でロイターに明らかにした。

対テロ戦略の中核をなす遠隔操作可能なドローンの先駆者である米ドローンメーカーが、より緩やかな規制の下で中国やイスラエルが販売する海外市場において、シェアを取り戻すよう後押しすることが狙いだ。

輸出規制の緩和によって、大量の雇用を簡単に創出できるだろうが、実際に具体化するのはまだ先の話だと、米航空宇宙産業協会(AIA)のレミー・ネイサン氏は語る。

恩恵を受けるのは主に、非上場のゼネラル・アトミックスやボーイング、ノースロップ・グラマンやテキストロン、ロッキード・マーチンなど、米国のドローン製造大手だ。

「かつて経験したことのない方法で、ゲームに参加できるようになる」と、ある米高官は述べた。

「バイ・アメリカン」戦略

特に、情報収集や監視、偵察用の非武装ドローンの販売規制が緩和されるとみられている。こうした最も高性能なドローンは、戦闘機や海軍艦船、地上発射装置によるミサイル発射を援護するため、高解像度カメラやレーザー目標指示装置を搭載している。

だが、「プレデター」や「リーパー」のようなミサイル搭載可能なドローンに関する輸出規制の緩和は、さらに慎重さを要し複雑だ。現代戦争を様変わりさせた攻撃能力を有する「ハンターキラー」ドローンの需要は一段と増しており、米国モデルは最先端と見なされている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 3
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中