最新記事

マイナス金利

三菱東京UFJの資格返上、マイナス金利封印観測を誘発

2016年6月9日(木)10時05分

6月8日、三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者の資格を返上する方針が明らかになり、一部の市場関係者は日銀のマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策(QQE)に影響が出るのか注視している。写真は黒田日銀総裁、都内で2月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

 三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー、PD)の資格を返上する方針が明らかになり、一部の市場関係者は日銀のマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策(QQE)に影響が出るのか注視している。

 日銀は金融政策に全く影響がないと強調しているが、マイナス金利の「封印観測」も浮上。市場における6、7月の金融政策決定会合への関心度も急速に高まってきた。

追随するか注目される他行の判断

 複数の関係筋によると、同行が財務省に返上の方針を打診したのは5月下旬。7月に実行される見通しだ。この判断の背景には、日銀のマイナス金利政策が長期化した際に、同行の損失が膨らみかねないとの懸念があるという。

 この動きを見て、東京市場の一部の参加者の間では「日銀のマイナス金利政策に間接的ながら、制約が出かねないのではないか」(国内金融機関の関係者)との思惑が出ている。

 複数の市場関係者の見方を総合すると、仮に日銀がマイナス金利幅を拡大させた場合、他のメガバンクやその他の金融機関がPDを返上する可能性があり、市場の混乱を回避する観点から、マイナス金利は現行の0.1%でしばらく維持し、他の緩和手段を検討するという見方だ。

地方でマイナス金利不評の構図

 こうした見方と相通じる声が、政府・与党関係者から出ていることも、市場の内外で日銀のマイナス金利政策の先行きに対する関心を高めている。

 ある与党関係者は「マイナス金利は、与党内での評判が悪い」と話す。地元の有力な支持基盤である地方の有力金融機関が、マイナス金利に反対する論陣を張って、与党の国会議員に働きかけているからだという。

 また、ある政府関係者は、自民党の参院選公約から金融政策の部分が脱落しているのは、そうした与党内の雰囲気を反映していると話す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ロシア財務省、石油価格連動の積立制度復活へ 基準価

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

現代自、米国生産を拡大へ 関税影響で利益率目標引き

ワールド

仏で緊縮財政抗議で大規模スト、80万人参加か 学校
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中