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アリババが香港英字紙買収――馬雲と習近平の絶妙な関係

2015年12月14日(月)17時15分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 特にサウスチャイナ・モーニングポストは、2013年7月に馬雲をインタビューした記事を4日連続で掲載したことがある。そのときアリババで起きた不祥事に関して責任問題を問うたとき、馬雲は「六四事件(天安門事件)のときにも鄧小平は国家最高の責任者として決断をしなければならなかった。あの決断(民主を叫ぶ若者を武力鎮圧したこと、筆者注)が正しかったように、最高責任者は毅然と決断をしなければならない」という趣旨の回答をした。この回答をサウスチャイナ・モーニングポストがウェブサイトに載せると、香港の若者たちが激しい抗議を発信し始め、またたく間に大陸のネット空間へと広がっていった。

 そのため拙著『中国人が選んだワースト中国人番付――やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』に書いたように、ネットユーザーが2013年末にネットでアンケートを収集し2014年元旦に公表した「中国人クズ番付」の1位に馬雲の名があったのである。

 その恨みもあったかもしれないが、ともかく中国政府を礼賛しないメディアの発言権をコントロールするような馬雲の動きは、どう考えても習近平と無関係とは思えない。

馬雲と習近平の関係

 馬雲は1964年に浙江省杭州市で生まれている。1982年に高校を卒業したが、大学受験で数学の点数が悪く(1回目の受験で1点、2回目の受験で19点)、大学受験に失敗。そこで三輪車で雑誌社の本を運ぶ仕事に就いた。その後杭州師範学院で英語と対外貿易を学び、訪米したことからインターネット・ビジネスに興味を持った。

 1999年にアリババを立ち上げるや、爆発的な成功を収め、2000年には雑誌『フォーブス』の表紙を飾るに至る。大陸にいる中国籍の中国人がフォーブスの表紙に載ったのは、中華人民共和国建国以来、初めてのできごとで、馬雲は一躍有名になった。

 2002年から2007年まで浙江省の書記をしていた習近平は、「民間企業振興」に力を注いだ。当然ながら、浙江省で成功した馬雲のアリババを重視している。2007年から上海市書記になると上海市政府の指導層を引き連れて浙江省視察に出かけ馬雲に会い、「上海市に活動の拠点を移してくれないか」と頼んだほどだ(『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』125頁参照)。

 それくらい馬雲を高く評価していた。だから、国家主席になった後の海外訪問では、馬雲を大規模な企業集家代表団の筆頭として随行させることが多い。たとえば今年7月の韓国訪問で習近平国家主席がスピーチをした時には、馬雲は代表団の第一列目に並んで「中国を代表する企業」としての存在感を見せつけている。中国の経済力によって韓国を中国側に惹きつけておきたい習近平としては、『フォーブス』の表紙を何度か飾っている馬雲は、言うならば中国経済成功のシンボルのようなものなのである。

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