最新記事

海外ドラマ

「見ているほうが恥ずかしくなる」ことで話題の『THE IDOL/ジ・アイドル』...唯一の見どころはリリーローズ・デップの演技力

A Feast of Cringe and Cliché

2023年07月07日(金)12時45分
ジェニー・G・チャン(スレート誌カルチャー担当)

チームのほかのメンバーと同じように、彼はジョスリンのことを気にかけているのだろうが、それよりも大事なのはビジネスだ。ジョスリンは雇用主で稼ぎ手であり、彼女によって彼らは生活の糧を得ている。

スターと身近なスタッフの本質的に不均衡な関係、徹底的に搾り取られる資産としての人間、アイドルが要求される血と汗と涙......

本作は、こうした掘り下げる価値のあるテーマに踏み込みかける。だが、ばからしさの奥深くに潜む別の作品の形が見え始めた途端、失笑ものの展開や陳腐すぎてなえるセックスシーンに後戻りしてしまう。

「俺のペニスでおまえを窒息させながら、おまえの尻をつかみたい」

テドロスは機械的な口調で、ジョスリンにそう告げる。こんなセックス場面より、自ら生み出したスターを食い尽くす業界の悲惨さを目にするほうがまだましだ。搾取を描くシーンには、少なくとも伝えるべき何かがあるのだから。

©2023 The Slate Group

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

国営インド石油、ロシア産原油の購入再開 数量範囲内

ビジネス

豊田合、通期純利益予想を上方修正 市場予測には届か

ビジネス

デンソー、通期利益予想を下方修正 品質引き当て織り

ワールド

米国防総省のDOGE部門が軍のドローンプログラム見
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 4

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 5

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 3

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 4

    【独占】「難しいけれど、スローダウンする」...カナ…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 5

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:高市早苗研究

特集:高市早苗研究

2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える