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ナルシストと自己肯定感が高い人は似て非なり アメリカのミレニアル世代に見る「ほめる子育て」の落とし穴

2019年12月24日(火)17時50分
船津徹

代わって登場したのが「ほめる子育て」です。「肯定的な言葉を多くかけるほど知能が高くなる」「ほめて育てると自己肯定感が高くなる」など、ほめる効果を裏付ける調査研究が次々と発表され、家庭や学校に浸透していきました。ミレニアル世代は、家庭、学校、地域社会において「たっぷりほめられて育った」最初の世代なのです。

たしかにアメリカ人の親や先生を見ていると子どもをよくほめます。「Good job!/よくできたね」「I'm proud of you!/誇りに思うよ」「You are so talented./すごい才能だよ」など「ちょっと大げさ(ウソっぽい)過ぎるのでは?」というほどしょっちゅう子どもをほめます。

もちろん子どもはほめられれば嬉しくなりますし、自信が大きくなるので良いことなのですが、「ほめて伸ばす」という言葉だけが一人歩きして、何でもかんでも「えらいね」「すごいね」とほめてばかりいると、少しおかしなことになってくるのです。

自分がどれだけがんばったのかは、本来、子ども自身が一番よく分かっているのです。大して努力もしていないのに「すごいね!」「才能あるね!」とほめられると「がんばらなくてもボクはすごいんだ!」とか「自分には才能があるんだ!」と勘違いするナルシストに育ててしまう危険性があるのです。

米国のメディアや教育専門家や企業の採用担当者たちは、ミレニアル世代の特徴として『自己顕示欲が強く、自信があり、ポジティブな楽観主義者』である反面、『怠け者で権利の主張ばかりする、利己的なナルシスト』という手厳しい評価を下しています。

【参考記事】自己主張を守るという名の放任子育てが増殖中! 子どもの自己主張と自我主張の見極めと対処法

ナルシストと自己肯定感が高い人の違い

ナルシストと自己肯定感が高い人は似て非なるものです。

ナルシストは自分と周りを比較します。「自分は周りよりも優れている」「自分は特別な存在だ」と思っていますから、自分と同じくらい優秀な人が現れると、バカにしたり、否定したり、見下したりして、自分より低い地位にひきずり下ろそうとする傾向があります。

一方自己肯定感が高い人は、あるがままの自分を受け入れていますから、自分と周りを比較して優越をつけません。自分と同じくらい優秀な人が現われると「自分も同じくらい優秀なはずだ」と考えます。そして努力を重ねて「本当にその人と同じくらい優秀になる力」を持っているのです。

子どもが大して努力もしていないのに、「すごいね」「えらいね」とほめていると、「自分はすごい=自分以外はすごくない」「自分はえらい=自分以外はえらくない」という間違ったメッセージを伝えてしまう可能性があるのです。

【参考記事】平然と他人に責任を転嫁しがちな「誇大型ナルシスト」の特徴

たとえばクラスでプリントをしているとき、自分がさっさと終わったから「こんな簡単な問題もできないの」「まだできないの」と、周囲をバカにする発言をする子どもがいます。このような子どもはナルシスト予備軍です。よい友だちに恵まれず、いじめの対象になりやすいので注意が必要です。

自己肯定感が高い子は、あるがままの自分を認めていますから、周りと比較したり、ライバルを蹴落とす必要がないのです。そのような子は自分が早くプリントが終わったら、「助けてあげようか」「手伝ってあげようか!」「できるよ!」と周囲を気遣う余裕さえ持っています。当然良い仲間に恵まれ、楽しく有意義な学校生活を送れるわけです。

オハイオ州立大学のブラッド・ブッシュマン教授の研究によって、ナルシストを育てる親は「自分の子どもは他の子よりも優れている、特別な人間である」という優越意識を持っていることが分かっています。子どもを過大評価している親は「親のナルシズムも大きい」ということです。

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