「アイデンティティ」を前に手が止まる日本人 自分が何者かを知るための第一歩とは?
私の話を聞いた学生は家に帰るなり、父親と母親はどこの出身なのか、どうやって出会ったのか、どんな家庭で育ったのか、どんな地域文化や風土があるのか、祖先はどんな仕事をしていたのか、苗字の由来は何なのか、と矢継ぎ早に質問を投げかけます。すると自分の親が、それぞれに異なる文化や価値観の中で育ってきたことがすぐに分かります。ユニークな存在である両親によって育てられたのですから「自分も違って当たり前」そう思えてくるのです。
親の半生を知ることは「自分は誰なのか?」というアイデンティティを見つける大切な一歩です。親の歴史が分かると、今の自分の姿をより理解できるようになります。そして「日本人」という枠に捕われず「自分」というアイデンティティを突き詰めて考えられるようになるのです。
これは海外在住者に限った話ではありません。日本で暮らす若者が就職などを前に「自分は誰で、何をしたいのか」というアイデンティティを確立するプロセスでも有効です。親は子どもに自分の歴史を語り、子どもは親の歴史を質問してみてください。子どもにとって親の歴史ほど興味深く、面白い話はないのですから。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。

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