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「男女平等ランキング」1位でも女性の収入は男性より30%も少ない 同一賃金徹底は特効薬になるのか?

Iceland’s Gender Pay Gap Law

2018年10月17日(水)18時00分
ジョーダン・ワイスマン

アイスランドでも現時点では女性の平均給与は男性より約3割低い(首都レイキャビクの株式市場) ULRICH BAUMGARTEN/GETTY IMAGES

<男女平等ランキング世界1位でもなくならない賃金格差。解消を目指す新法が年初に施行されたが......>

極北の国アイスランドが、世界中の女性に温かな光を投げ掛けている。大企業に男女同一賃金の徹底を求める法律が、1月1日に施行されたのだ。

既にアイスランドでは、性別による賃金格差が法律で禁じられている。今回の新法はさらに一歩踏み込み、企業に対して女性従業員を平等に扱っている証明を義務付けるものだ。

この法律によって、フルタイムの従業員を25人以上雇用している企業は、3年ごとに給与実態の監査を受けて政府に提出しなくてはならない。条件を満たさなければ罰金が科される。

アイスランドは世界経済フォーラムによる「男女平等ランキング」で常に1位。女性の政界進出も際立ち、議員のほぼ半数を占めている。17年11月末には女性首相のカトリーン・ヤコブスドッティルも就任した。

こうした状況の下で、男女平等を推進する大胆な政策が生まれたのは偶然ではないだろう。企業役員の少なくとも40%を女性にすることを義務付ける規定も設けられている。

ところがアイスランド女性の収入は、男性の平均より約30%も少ない。女性の労働時間が男性より短いことが大きな要因だが、縮まらない格差は抗議の声につながった。16年10月には、全国の働く女性が午後2時38分に一斉に職場を離れた。男女間の賃金格差から計算すると、午前9時〜午後5時の仕事の場合、女性にとって午後2時38分以降はただ働きになるためだ。

新法が施行されても、男女間の賃金格差は完全には解決されないだろう。仕事と育児の両立や単純な女性差別といった手ごわい問題が絡んでいる。

それでも男女平等推進の意識が根付いている人口約34万人の小国での実験は、各国政府にヒントをもたらす。イギリスなど他の数カ国でも、企業に男女別の給与の報告を義務付ける試みが始まっている。

アメリカでは16年、オバマ前政権下で、大企業に男女別の給与明細を雇用機会均等委員会に提出させる規定が提案された。実施されれば従業員の訴えを待たずに政府が男女間の不平等を調査できたのだが、トランプ政権がこの方針を破棄した。

他国のモデルになる?

男女の賃金格差がないことを企業側に証明させ、違反には罰金を科すというアイスランドの方法は、これよりはるかに進んでいる。うまくいけば、各国の手本になる可能性がある。

だが、アメリカに導入するのはいささか難しいだろう。アイスランド労働同盟の幹部によると、男女同一賃金は「一定の労働に決まった給与」を企業に払わせるという趣旨だ。あくまで労働の対価であり、上司の評価や本人の交渉力は関係ない。

労働組合の力が強く、労働市場の規制が行き届いたアイスランドのような国では可能でも、労使双方が集団交渉を嫌うアメリカでは受け入れられにくいかもしれない。

とはいえアメリカでも、マサチューセッツやカリフォルニアといったリベラルな州であれば興味を示す可能性がある。女性政策研究所(本部ワシントン)のアリアンヌ・ヘゲウィッシュ雇用・収入プログラムディレクターによると、現在のところアイスランドのような規定を州が実施するのを禁止する連邦法はない。

実施されれば大企業は従わないわけにいかないので、全米規模のドミノ効果が起こるかもしれない。民主党の州知事が男女平等の流れに加勢して名を上げたければ、北の小国の取り組みに注目していい。

(c)2018 The Slate Group

[2018年2月13日号掲載]

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