最新記事

ネット

YouTubeもYouTube Kidsも、未成年者を守るのはこんなに難しい

YOUTUBE TRIES TO CLEAN UP MORE

2019年6月10日(月)16時20分
ロン・ライオンズJr.

子供たちを守るためのYouTubeの取り組みは苦戦を強いられている BEAWIHARTA-REUTERS

<YouTubeが大人の同伴なしでライブ配信できなくする方針を明らかにしたが、小児性愛者などの不適切な言動から子供を守る取り組みは、モグラたたきの様相を呈している>

グーグル傘下の無料動画投稿サイト、YouTubeは6月3日(米国時間)付のブログ投稿でポリシーの一部変更を発表。「幼い未成年者」(13歳未満の子供)が「食い物にされるリスクを抑える」ため、大人の同伴なしでライブ配信できなくする方針を明らかにした。

同社は既に13歳未満の子供が自分のアカウントを持つことを禁じているが、新たに人工知能(AI)による分類プログラムを使って不適切なコンテンツを特定。「危険な状況に置かれている未成年者」の動画をむやみに推奨しないようにする。

同日報道されたハーバード大学の研究によれば、YouTubeのおすすめ機能は裸に近い子供たちの動画を視聴した人に似たような動画を次々と紹介。結果的に小児性愛者にその手の動画を提供する仕組みが出来上がってしまっている。

ネット上の不適切な言動から幼いユーザーを守るのは難しい。YouTubeほどの規模になればなおさらだ。

2015年2月に導入した13歳未満向けアプリ「YouTubeKids」は保護者が許可した動画のみ視聴できる制限モード、教育的コンテンツ、投稿・検索可能な動画の制限が好評だったが、やがて陰謀論的なコンテンツなどが蔓延し「バブル」ははじけた。

2017年11月、子供に人気のキャラクターを悪用した動画を投稿して収入を得る「エルサゲート」が問題になると、YouTubeは規制を強化し、違反したチャンネルを停止し動画を削除。今年2月には未成年者中心の動画に小児性愛者のコメントが集中しているとして大手企業が相次いで広告を引き揚げる事態に。これを受けてYouTubeは未成年者動画のコメント機能を無効にした。

子供向けコンテンツだけではない。YouTubeは5日、ヘイトスピーチや過激な動画を大量に削除、「信頼できるコンテンツを増やす一方、際どいコンテンツの拡散を減らして信頼できるクリエーターが儲かるようにする」べくプラットフォームを微調整すると発表した。

ユーザー20億人を擁する巨大プラットフォームのモグラたたきは当分続きそうだ。

©2019 The Slate Group

【参考記事】少女がプールで遊ぶだけの動画が40万回再生──YouTubeの危うい「おすすめ」機能

<2019年6月18日号掲載>

20190618issue-cover200.jpg
※6月18日号(6月11日発売)は「名門・ジョージタウン大学:世界のエリートが学ぶ至高のリーダー論」特集。「全米最高の教授」の1人、サム・ポトリッキオが説く「勝ち残る指導者」の条件とは? 必読リーダー本16選、ポトリッキオ教授から日本人への提言も。


ニューズウィーク日本版 ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月24号(2月17日発売)は「ウクライナ戦争4年 苦境のロシア」特集。帰還兵の暴力、止まらないインフレ。国民は疲弊し、プーチンの足元も揺らぐ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

EU、気候変動悪化への備え不十分 諮問委が投資強化

ワールド

トランプ政権の駐南ア新大使が着任、関係改善模索へ

ワールド

コロンビアGDP、25年は2.6%増 予想下回る

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、足元はマイナス圏 主力株
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 2
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中