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ジュリア・ロバーツ、「自分探しの旅」に出る

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 インドのパートで印象的なのは、瞑想仲間のリチャード(リチャード・ジェンキンズ)の存在だ。アルコール依存から立ち直るためにテキサスから来たリチャードには不思議な積極性があり、知り合ったばかりのリズに愛情あふれるニックネームをつけたりする。

 性格俳優のジェンキンズには、落ち着いた威厳がある。だが私は、2人の関係に漂う嘘っぽさを感じずにはいられなかった。リチャードというキャラクターは、現実を受け入れることと信念についての格言を発するためだけに存在させられたようにみえる。

 リチャードが自分のことを語るシーンも1カ所あり、ジェンキンズは観客の感情を巧みに操る堂々とした演技をみせている。リズとリチャードの互いへの信頼が新たなステージに達したことを示すシーンだが、私はこの瞬間、映画への信頼を失った。

バリ島の恋でみせた真実の感情

 瞑想を終えてバリ島に旅立ったリズは、年老いた祈祷師に弟子入りする。緑豊かなジャングルと好色な在住外国人に囲まれた日々を過ごすうちに、リズはブラジル人ビジネスマンのフェリペ(ハビエル・バルデム)と出会う。だが、過去の2つの恋愛の傷から立ち直っていないリズは、フェリペに口説かれてもしばらく応じようとしない。 

 いったん2人の恋が始まると、穏やかで慎重に進行していた物語は一気に破天荒な展開に転じる。フェリペがいくら魅力的だからといっても、またも身を焦がす恋にどっぷり浸かるのはリズにとってよくないのではないか、と映画は示唆しているようだ。

 リズは、ようやく手に入れた心の平穏を失うのが怖いとフェリペに語る。フェリペの熱烈な求愛に抵抗するリズの目に恐怖が浮かび上がるシーンは、この映画で唯一、真実の感情を伝えているように感じられた。

 とはいえ、イタリアで美味しい食事を堪能し、インドで精神のバランスを身につけたリズは結局、バリ島での「恋」も手に入れるのだが。

Slate.com特約)


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