最新記事
健康

ウォーキングとランニング、どちらが「健康寿命」にはいいのか?

Walking or Running?

2023年1月6日(金)12時05分
パンドラ・デゥーワン
ランニング

運動の目的や強度を考えながら体を動かすことを習慣にしよう KAPOOK2981/ISTOCK

<体重を減らすにはランニングのほうが時間効率はよいが、体重の負荷がかかるという点では避けるべき人もいる。活動的であり続けるために、あなたが選択すべきはどちらか>

マラソンでも犬の散歩でも、活動的であることは体や脳に数え切れないほどのメリットをもたらす。なかでもランニングとウオーキングは心臓の健康を向上させ、睡眠を改善し、免疫システムをサポートして気分を高め、より健康的な長生きにつながる。

どちらも有酸素運動に分類される。ただし、ランニングをしたことがある人なら誰でも、この2つが同じではないと断言できるはずだ。

「米保健福祉省の最新の身体活動ガイドラインでは、健康を維持して活動的なライフスタイルの恩恵を受けるために、成人は週に150~300分間の中程度の有酸素運動か、75~150分間の激しい運動が必要とされている」と、JKFフィットネス&ヘルスの創業者で米スポーツ医学会の認定トレーナーのジョン・フォードは言う。「これは1日約30分を週5日に相当する」

ウオーキングとランニングはどちらも1週間の推奨運動量にカウントされるが、それぞれの効果は目標や健康のレベルによって異なる。

230110p56_UDO_02.jpg

LZF/ISTOCK

減量が目的の場合、基本的にはカロリー不足になると体重が減る。「余分なカロリーの主な貯蔵形態が脂肪だから、消費量より多く摂取すると脂肪が増えて、摂取量より多く消費すると脂肪が減る」と、南オーストラリア大学のティモシー・オールズ健康科学教授は言う。

体重を減らすには、ランニングのほうが余分なカロリーを燃焼させる時間効率が高い。「速く歩いたり走ったりするほどエネルギーの消費量は増える」と、オールズは言う。「競歩の選手はマラソンランナーに匹敵するほどのアスリートだが、ほとんどの人はそこまでのレベルの『パワーウオーキング』はしない」

米国運動協議会の推定によると、体重160ポンド(約72.5キロ)の人はランニングで1分間に約15.1キロカロリーを消費するのに対し、ウオーキングでは8.7キロカロリーしか消費しない。これは走るほうがスピードが速く、1分間の移動距離も長くなるから当然だ。では、距離に対する運動効果を比較するとどうなるだろうか。

「ランニングは、より強度の高い運動の中で最も効率的な1つだ」と、フォードは言う。

「複数の筋肉群を使うことに加えて、体重の負荷がかかる運動なので、筋肉と骨を重力に逆らって動かすことになる。自重負荷がかかる動きは骨密度の増加と維持に役立つ。さらに、重力に逆らって動く要素が加わることで、動きを完成させるためにより大きなエネルギーが必要になる」

その結果、カロリーの燃焼効率が上がるだけでなく、より効果的な運動になる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは156円前半へ上昇、上値追いは限定

ビジネス

中国、25年の鉱工業生産を5.9%増と予想=国営テ

ワールド

中国、次期5カ年計画で銅・アルミナの生産能力抑制へ

ワールド

ミャンマー、総選挙第3段階は来年1月25日 国営メ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中