世界の不動産市場、金融緩和でも急ピッチの回復見込めず
フロリダ・アトランティック大学のレベル・コール教授(ファイナンス)は、米国の62行の中小銀行が巨額の不動産融資債権を抱えていると指摘。一部は破綻の危機があるとの見方を示した。資金調達を大口預金に依存しており、直ちに預金が引き出されるリスクがあるという。
米マーベリック・リアルエステート・パートナーズ(ニューヨーク)の共同創業者デービッド・アビラム氏によると、来年は大量の融資が返済期限を迎えるため、銀行は融資債権の売却を目指しているが、一部では額面の40%でしか買い手が見つからず、売却を棚上げしている銀行もある。
ECBは、ユーロ圏の一部大手行が商業用不動産の評価額をつり上げ、融資状況の悪化を隠蔽(いんぺい)している可能性があると指摘している。
融資債権の売却先送りは事態の悪化につながりかねない。人気のある立地とそうでない立地の差は広がりつつある。
シュローダー・キャピタル(ニューヨーク)のジェフリー・ウィリアムズ氏によると、ロサンゼルスではフォックスの撮影所があるセンチュリーシティーの商業地区が好調だが、ダウンタウンでは多くのビルが経営破綻し、空き室も目立つ。
不動産市場の深刻な悪化に見舞われているスウェーデンでは、それでも利下げへの期待が浮上している。同国の不動産大手SBBのレイフ・シネスCEOは「資本コストが下がり、不動産価格が上昇する可能性があると信じるのであれば、その方がいい。今はムードが一変している」と語った。
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